三谷幸喜監督の最新作『ギャラクシー街道』を見て来ました。
監督初のSF仕立てのコメディです。
しかしこの映画、久しぶりに見たとんでもない珍品です(この映画を許せるかどうかでその人の度量が分かります)。
【物語】
23世紀。
宇宙の惑星と地球とを結ぶ航路”ギャラクシー街道”沿いに立つ、ハンバーガーショップ。
街道からはかつての賑わいが消え、店にも閉店の噂が出る中、店長のノア(香取慎吾)は妻ノエ(綾瀬はるか)の浮気を疑っていた。
ノアの昔の恋人レイ(優香)と、ノエに言い寄るリフォーム業者のメンデス(遠藤憲一)が来店したことから、騒動が巻き起こる。
…最初にお伝えしておくと、私は三谷幸喜の作品が好きです。
しかしここで言う作品というのは、”監督作品”以外の作品。演劇とドラマの脚本作品は大好きだし、エッセイ「三谷幸喜のありふれた生活」は全巻持っています。
好きだからこそ、敢えて書きます。最近の映画監督作品となるとまるでダメです。
初期の『ラヂオの時間』がいちば良かった。
三谷幸喜お得意の、限定された空間に訳ありな人びとが右往左往するシチュエーション・コメディで、スピーディーな演出も初監督作とは思えないほど。
続く『みんなのいえ』は、これもシチュエーション・コメディの変化球ですが、小品ながら往年の日本映画のような温かみがありました。
オールスター・キャストで大予算の『THE有頂天ホテル』から狂いだしました。
『ザ・マジックアワー』は良くて悪くて悪くて良くて。
『ステキな金縛り』のミュージカル・シーンは見ていて気恥ずかしさ満点。
『清須会議』では結局、歴史大作を見に来たのかコメディを見に来たのか分からず、どっちつかずの未消化感を残したまま複雑な思いで劇場を後にしたものです。
そんな後の作品が『ギャラクシー街道』だったわけで、しかも監督初のSFという冒険。
吉か凶か、どちらかに転ぶだろうと思って見ましたが、残念ながら「凶」だったようです。
監督はロジェ・バディムの『バーバレラ』をやりたかったようで、かなり直球な『バーバレラ』のパロディもあり、作品全体としては(ムリして)エロティックな味付けをしたようです。
そもそもロジェ・バディム唯一のSF『バーバレラ』からしてSFとしてはチグハグな作品で(トリュフォーの『華氏451』もそう。好きだけど)、チグハグなものに影響などされているのだから、ロクな結果にならない訳です。
SF仕立てといっても、特撮シーンは宇宙遊泳をする香取慎吾と、正義の味方・キャプテン・ソックスのシーンぐらいで(このシーンは松本人志監督の『大日本人』と同レベル)、予算の使い方をちゃんと分かってたメル・ブルックス監督の『スペースボール』とは大きな違いがあります。
両性具有で卵を産む遠藤憲一や、半分カエルで終始ヌルヌルしている西川貴教を見たい人には強くオススメできますが、それ以外の人には薦められません。
どんな映画にもいい所があるというのが私の持論で、師匠から教わったことでもあるのですが、この映画の良いところは2点。自身の生み出した幻想に悩まされる段田安則と、ただひとり輝いていた綾瀬はるか、以上です。
★★。星はその2点だけに捧げます。
『THEマジックアワー』の公開初日がチケット売り切れの超満員だったのが懐かしい。
土曜の昼の初日というのに、シネコンの最大スクリーンで観客20人とは、何とも寂しい封切でした。ぜひとも三谷監督には、ほんとうの得意ジャンルで勝負をして欲しいものです。
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