「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(”あの花”)のスタッフが最結集した映画『心が叫びたがってるんだ。』を見て来ました。
9月に映画館で見た映画の中では、最大人数の大入り満員でした。
”あの花”組による新作という話題性の高さがあるようです。
【物語】
小学生のときの自分の発言が原因で両親が離婚したと思い込む少女・成瀬順(声:水瀬いのり)は、離婚以来、言葉を発することができなくなっていた。
高校2年生となり、クラスになじめずにいた順だったが、地域との交流イベントの実行委員に選ばれてしまう。同じく委員に選ばれた拓実(声:内山昴輝)、チアリーダーの仁藤菜月(声:雨宮天)、ケガをしている野球部員の田崎大輔(声:細谷佳正)ともかみ合わない。しかし、拓実が学校の音楽室で見せたある行動に惹かれ、順は決心をする。
…意外なことに、この映画の根底にあるのは、2本の古いアメリカ映画…『オズの魔法使い』と『八十日間世界一周』とその主題曲です。これらがどう映画に影響を与えているかには言及しませんが、見る者をほのかに幸せにさせるような2本の映画が土台の部分にあるのは納得できます。
”あの花”はTVシリーズであり(後日談的な劇場映画もあります)、その作劇方法は映画とは異なります。ですから、”あの花”最終話で押し寄せる感涙の洪水は今回の映画にはありません。むしろ、”あの花”よりも現実的で、どことなく冷めた目線で物語が展開するほどです。
昔の体験から声が出なくなった少女に映画のような奇跡は起きず、クラスメートの力を借りて自らで復帰を果たす。映画というようりも十分に現実的です。それゆえの力強さというものが、この映画にはあります。ファンタジーのようでありながら、実はファンタジーを否定する映画なのです。
このジャンルでは、もはや古典になりつつある『耳をすませば』に代表されるような、青春群像劇や恋愛映画特有の気恥ずかしさはあります。そちらの方がよっぽどファンタジーです。
某アイドルグループによるエンディング・テーマの本編とのミスマッチさえなければ、ファンタジーによってファンタジーを否定した映画として、傑作となり得たかもしれません。
★★★★。
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