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2015年09月19日01:04

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やっとの思いで見たらやはり傑作だった 『吾輩は猫である』

最も好きな監督の一人であり、その監督の全作品を見ることをライフワークとしている一人・市川崑の『吾輩は猫である』を、DVDでやっと見ることができました。

市川崑監督の生誕100年を記念するDVD発売・作品上映祭のキャンペーンの一環で、初DVD化となったものです。

1975(昭和50)年の東宝映画作品です(製作は芸苑社)。


【物語】
英語教師の苦沙弥先生(仲代達也)の自宅には、風変りなインテリが出入りしている。
美学者の迷亭(伊丹十三)や、理学士の寒月君(岡本信人)などである。

寒月が密かに想いを寄せた女性が、苦沙弥先生の大嫌いな実業家・金田氏(三波伸介)の娘であったことから、2人を一緒にさせまいとする先生であったが、逆に酷い目に遭う。

そんな様子を、先生の家に居ついた一匹の猫がじっと見ている。


…原作は、言わずと知れた夏目漱石の名作小説。戦前にも一度映画化されています。
映画化しにくい題材と思うのですが、さすがは市川崑監督。ユーモアたっぷりと、しかもある箇所は異様にスピーディーに、緩急自在に映像化することに成功しています。

市川崑監督はこの2作あとに『犬神家の一族』(1976)を撮るのですが、『犬神家〜』でも見られた演出の原点を見ることができます。たとえば、複数の人物が一斉にしゃべり出し、それを短いショットを重ねて編集することで、会話劇でありながらスピードを創出するシーンがそれです。

主人公・苦沙弥先生の自宅に出入りするインテリ人(正確にはインテリ”風”)の、大真面目なのにどこかおかしい会話劇は、タランティーノ作品に登場する”中身がまるでないのに真剣そのものの会話”の面白さに通じるものがあります。

その会話劇の中核をなす2人…仲代達也と伊丹十三の掛け合いは絶妙そのもの。くだらないのに粋で、クールなのに臆病な明治のインテリを好演しています。

シンセサイザーによる音楽(バッハ)も映画の世界に見事にマッチしています。
もうひとりの主人公、猫がまるでかわいくないのも良かった。この猫は観客に媚びたら駄目なんですね。劇中でずいぶんとひどい目に遭わされているのはかわいそうでしたが。

★★★★。
『犬神家の一族』の原点ここにあり、です。
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