近所のTSUTAYAに、昭和の名作邦画がどっさり入荷しており、その中で未見だった市川崑監督の『あの手この手』を見つけたので、あわててDVDを借りてみました。
市川崑監督は、もっとも好きな監督の1人です。
ううむ。面白い。
1952(昭和27)年の大映作品です。
【物語】
さえない大学助教授の鳥羽(森雅之)は、小説家になることを夢見ていたが、すでに文筆業で収入のある妻(水戸光子)に頭が上がらない日々。
そんな時、伊勢志摩に暮らす姪のアコ(久我美子)が家出をし、鳥羽夫妻の家に転がり込む。口八丁・手八丁でトラブルを起こしては解決するアコに、夫妻は手を焼くが…。
…この時期の市川崑は東宝で仕事をしていましたが、大映に招かれて撮ったのがこの映画(のちに大映で傑作『おとうと』『鍵』『炎上』などを次々と送り出すことになります)。
原作は京都伸夫の連続ラジオドラマ。
市川崑と妻の和田夏十が共同で脚本を書いています。市川崑らしい、ハイスピードな演出が何ともモダンで、ひとつも古びていません。
冒頭のタイトル・クレジットからして前衛的です。
のちに『おとうと』では、巨大で真っ黒なシネスコ画面に極小文字でタイトルが出たり、『犬神家の一族』では極太明朝体が有名ですが、本作では日本語のタイトルと同時に英語でもタイトルが出るモダンさです。
完璧すぎる妻の尻に敷かれっぱなしのさえない大学教授を、森雅之が好演。黒澤明の作品群での姿とは対象的で、男の悲哀がよく出ていました。
★★★★。
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