「午前十時の映画祭」で、フランシス・コッポラ監督の1992年作『ドラキュラ』を見てきました。だいぶ昔にTVで見たっきりで、スクリーンでは初です。
1992年のアメリカ・コロムビア映画。ビスタサイズ、127分の作品です。
日本国内初の5.1chサラウンド音響にて上映された作品としても知られています。
【物語】
15世紀のルーマニア。誇り高き武将であり、城主でもあるドラクル伯爵(ゲイリー・オールドマン)は、戦場では勝利を収めたものの妻エリザベータ(ウィノナ・ライダー)を亡くし、悪魔に魂を売る。
それから400年後、1897年のロンドン。弁護士のジョナサン・ハーカー(キアヌ・リーヴス)は、トランシルヴァニアのドラキュラ伯爵から不動産購入の依頼を受け、婚約者のミナ(ライダー2役)を残して現地へ向かう。伯爵は、ミナの写真を見て死んだ妻にそっくりであることに衝撃を受け、ジョナサンを城に幽閉してロンドンへ向かう。
…豪華キャストの大作で、衣装デザインを手がけた石岡瑛子がアカデミー賞に輝いたことでも知られるゴシック・ホラーです。『ゴッドファーザー』や『地獄の黙示録』『カンバセーション 盗聴』を撮ったフランシス・コッポラ初期の鋭さは無くなり、大作映画をきっちり仕上げた職人技のようなものが感じられます。
英語のタイトルに「ブラム・ストーカーのドラキュラ」とあるように、原作の空気感を出そうとしているのが伺えます。19世紀のロンドンの街は薄暗く、東欧はまだ未知の領域で、科学よりも因習がモノを言う世界がよく再現されておりました。
ハマー・フィルム版の『吸血鬼ドラキュラ』(1958)を金字塔として崇めている自分から見ると、ゲイリー・オールドマンの伯爵の奇抜なメイクには馴染めませんでしたが、あくまで妻への愛をもとに行動する伯爵の切なさには哀しみが籠められていて悪くなかったです。
対するヴァン・ヘルシング教授=アンソニー・ホプキンスには、ハマー版のピーター・カッシングのような冷徹な知性が感じられず、ドラキュラ伯爵への興味と情熱だけで行動しているように見えるのが興味深かったです。
90年代初期のアメリカ映画で、リマスターされた4K映像には高精細さはあまり無いものの、5.1ch化されたドルビー・ステレオ音声はなかなか緻密でした。
★★★。
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