何世代にも渡って何者かに取りつかれたかのような農場と少女たちを描く叙事詩のような映画『落下音』を見てきました。
カンヌ国際映画祭で高く評価されたドイツ映画です。
【物語】
郊外の農場で、4つの時代を生きた少女たち。
1910年代のアルマは、生者と死者の違いを疑問に思う。
1940年代のエリカは、片足のない伯父に強く惹かれていた。
1980年代のアンゲリカは、いとことの関係に悩んでいる。
現代のレンカは、母を亡くしたという隣人の少女と出会う。
4つの時代がランダムに交錯していく。
…2時間35分の上映時間に渡って、何とも言い難い不協和音が継続する不思議な映画です。時に轟音となり、時に静寂を持って表現される”音”は、「そこにはいない何者か」の存在を際立たせ、でも決して映像には登場しない、不気味なノイズとなって全編を支配しています。
足のない伯父、蝿、納屋、濁った川、無骨なテーブル、古い写真など、何かの存在を感じさせる小道具が時代を超えて何度も登場し、見る者の不安を掻き立てます。決まったストーリーはなく、終始一貫して不安感を与える映像と音響は、怪奇映画以上に怪奇的です。
4:3のスタンダード・サイズの画面も、ワイドスクリーンでは描けない、古来の怪奇映画のような不気味さを掻き立てるのに一役買っています。
★★★。
大昔の『カリガリ博士』『吸血鬼ノスフェラトゥ』もドイツ映画でした。ドイツ映画には、何か根源的にそういう要素が…土着の何かがあるようにも思えます。
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