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2023年07月14日23:35

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『君たちはどう生きるか』

(映画の内容に触れる記述はありませんが、念のためご注意ください)

宮崎駿監督の10年ぶりの最新作、『君たちはどう生きるか』を見て来ました。
『風の谷のナウシカ』が生涯映画のベスト3に入る者にとって、この監督の新作を映画館で見ることはライフワークです。

この映画、予告編はおろか主要スタッフ・キャストの名前も伏せてのロードショー初日を迎えました。製作陣の意図を尊重して、映画の内容には触れずにレビューを記録します。

『もののけ姫』で、映画的起承転結の作劇法を破壊して以来、宮崎駿監督の映画は「大作風の見せ場がクライマックスに向けて収束していくのではなく、ずんどう鍋のような、入り口から底までがフラットな演出」の作品ばかりで、今回の『君たちはー』も同様です。強いて言えば、今までの作品異常に、現実の描写と、それとは異なる世界に突入してからの描写にはあいまいな境界線しかなく、白昼夢を見ているかのような錯覚に陥ります。

そこには明確な説明はありません。
ハリウッド映画のような、分かりやすい大作映画を見慣れていると、キツネにつままれたような感覚のまま124分の上映時間を終えてしまいます。

今までの監督作のように、うまい飯も強い女も出て来ます。

しかしそれらは、例えば『ハウルの動く城』のベーコンエッグのような明白な美味さを感じさせない、どこかぼわっと不安定なもので、それは主人公を取り巻く環境の不安定さとも通じていて、底知れぬ怖さがありました。宮崎駿監督、この作品にして初の境地に達したようにも見えます。

一方で、描写の古さに異質なものも感じました。
感極まったヒロインが、駆け付けてきて登場人物に抱き着くというのは、『カリオストロの城』からもう何度も繰り返し見て来たシーンですが、そこに古さを感じてしまったというのは、やはり映画は進化しているということなのでしょう。

とは言え、並々ならぬエネルギーを感じる作品です。凡百の映画監督には、こうは撮れないでしょう。老巨匠の最新作の新境地とエネルギーに敬意を表して、★★★★としたいと思います。
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