先日、伊坂幸太郎の「マリアビートル」をブラッド・ピット主演で映画化した「バレット・トレイン」の予告編を劇場で見ました。日本の新幹線が舞台になる作品です。
昔から鉄道や列車を舞台にした映画には傑作が多い気がします。
ヒッチコック『バルカン超特急』、フランケンハイマー『大列車作戦』、シドニー・ルメット『オリエント急行殺人事件』、パニック映画『皇帝のいない八月』『カサンドラ・クロス』、2本の新幹線映画『動脈列島』『新幹線大爆破』などなど。
サスペンス映画ばかり思いつく中で、どちらかというとホームドラマ的色彩の強い、国鉄の創立記念で作られた映画『大いなる驀進』をAmazon Primeで見ました。
これがまた面白かった。
1960(昭和35)年の東映作品。カラー、シネマスコープ・サイズです。
【物語】
東京発・長崎行きの寝台特急「さくら」。
列車のボーイを務めていて、結婚を機に辞めようと思っている矢島(中村嘉葎雄)と、彼を追いかけて列車に飛び乗ったフィアンセの君枝(佐久間良子)。矢島の良き先輩で車掌の松崎(三國連太郎)。乗客は、スリの名人(花澤徳衛)、大物政治家、実家の母が危篤の少女、九州の大学病院に血清を運ぶ職員などだった。
順調に走行する「さくら」だったが、大型台風が接近し…。
…新藤兼人の脚本を、職人・関川秀雄監督で映画化したもの。
いわゆるグランドホテル形式で、多彩な登場人物が一同に会するところに面白さがあります。70年代に量産されるパニック映画の構造そっくりですが、60年代の東映作品なので、人情劇に仕上がっています。
国鉄全面協力のもとで、実際の路線でロケ列車を走らせて撮ったという映像が驚異的。よくあるセット撮影などではなく、ちゃんと走る車内で撮影されており、俳優もその中で演技しています。いまじゃ考えられません。
劇中、山陽の山の中で土砂崩れが発生し、台風の中、列車のスタッフや乗客が協力して土砂を撤去するシーンが感動的。一方で、スリの男=花澤徳衛が良い味を出しており、彼のスリの技がラストで生きて来ます。脚本を書いた新藤兼人の名人芸が光ります。
★★★★。
車内食堂のメニューや、60年前の寝台車の内装など、細部の描き込みも丁寧で大いに楽しめました。
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