水俣病の惨状を世界に伝えた写真家W・ユージーン・スミスの物語を映画化した『MINAMATA ミナマタ』を見て来ました。改めて考えると、広島長崎の原爆投下や八甲田山の雪中行軍は映画化されているのに、公害病を正面から描いた劇映画は非常に少ないことに気づきます。
アメリカ=イギリスの合作映画で、主たる撮影はセルビアのスタジオで行われたようです(日本でも撮影は行われています)。
【物語】
1971年。ニューヨークの写真家W・ユージーン・スミス(ジョニー・デップ)は、日本企業のCM撮影で来日した翻訳者のアイリーン(美波)から、日本で起きている水俣病の惨状を世界の紹介してくれないかと持ち掛けられる。「ライフ」誌編集長のロバート(ビル・ナイ)を説得し、撮影のために来日したスミスは、想像以上の光景を目の当たりにする。
…飲んだくれで生活が崩壊しかかっている孤高の写真家という役は、ジョニー・デップにぴったりでした。激しく感情を出すことなく、淡々と仕事をしているように見えて、眼の奥の情熱のようなものがにじみ出ています。彼を後押しする編集者のビル・ナイも良い味を出しています。
日本からは、チッソ訴訟団のひとりで真田広之と加瀬亮、チッソ社長として國村準が出演しています。のちにユージーンの妻となるアイリーン役の美波は、初めて見た人ですが、ジョニー・デップを相手に堂々たる演技です。
日本人として、軽く論じてはいけない題材の映画を、米英で撮ったという凄さに、同時に歯がゆさも感じます。映画には痛烈な公害批判が込められており、エンド・クレジットで出されるメッセージは、日本人にも重く響くものです。
劇映画にする以上、史実と異なる脚色は避けられなかったことと思いますが、力のある映画に仕上がっているのは間違いありません。
★★★★。
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