H・G・ウェルズの「ドクター・モローの島」を最初に映画化した『獣人島』をDVDで見ました。10枚組のお買い得パック「疑惑と迷宮の世界」に収録されている映画です。
その後も2度リメイクされていますが、この第1作の怖さは格別です。
1932(昭和7)年のアメリカ映画。パラマウント映画ですが、例によってDVDからは社名のロゴマークがばっさりカットされているのが残念。
【物語】
南太平洋を航海中の貨物船が、漂流していた一人の男・エドワード(リチャード・アーレン)を救助する。しかし船長とケンカしてしまったエドワードは、貨物船が荷を降ろしていた小型船に取り残されてしまう。小型船は、イギリス人科学者モロー博士(チャールズ・ロートン)のもので、孤島に研究所を持っていた。
成り行きで研究所に招待されたエドワードは、そこでモロー博士が行っていた恐怖の生体実験を目撃してしまう。
…VFXもメイクも発展途上の時代で、このクオリティです。半分人間にさせられた獣人たちの、恐ろしくも哀しい姿にゾクゾクします(獣人の中には無名時代のアラン・ラッドがいますが、獣メイクで誰だか分からず)。
キーパーソンとなる半獣娘ロタ(キャサリン・バーク)のかわいそうなことよ。
人間になりかけていたのにどんどん野生化が進み、理性が失われていく中で、必死に主人公を愛そうとする姿が健気で、もう。特殊メイクなどほとんどしていないのに、うつろな目つきと表情だけで魅せる、映画の妙技です。
紳士なのに狂気に満ちたマッド・サイエンティストを演じたチャールズ・ロートンは悪魔そのもの。のちのリメイク版ではバート・ランカスターやマーロン・ブランドも演じた役ですが、断トツでロートンのが怖い。その彼が、最後に獣たちによって生きたまま解剖されるラストは、いっさい血など見せずに悲鳴だけで演出する上手さ。
獣人のひとりで、研究所の執事のような役を演じるのが日本人俳優の駒井哲です。映画の根っこには人種への偏見のようなものもあり、背筋が寒くなります。
★★★★。
ログインしてコメントを確認・投稿する