『夜明け告げるルーのうた』『夜は短し歩けよ乙女』の湯浅政明監督によるオリジナル最新作『きみと、波にのれたら』を見て来ました。
監督の前2作と同様、フラッシュアニメーションを進化させた独自の表現が見どころの一つで、湯浅監督はこのジャンルを確立させた第一人者です。
ベテラン・吉田玲子の脚本も良く、映画も良かったです。
【物語】
海とサーフィンが好きで、海の見える街に引っ越してきた女子大生のひな子(声:川栄李奈)。
住んでいるマンションが火事にあい、消防士の港(声:片寄涼太)に助けられたひな子は、港と互いに惹かれ合い、付き合い始める。
しかし、港は人名救助の際に命を落としてしまう。悲嘆に暮れるひな子だったが、意外な形で港が彼女の前に現れる。
…アニメーションで難しいのが、水の表現でしょう。
それが天才的に上手かったのが宮崎駿で(『パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻』など)、透明感あふれる水の描き方は唯一無二のもの。その弟子筋にあたる押井守は『攻殻機動隊』で、ヒロインの草薙素子が潜る水を黒くて底の無い恐怖の対象として描いて見せました。
先駆者たちとまったく違う表現をして見せたのが湯浅政明。今回は『ルーのうた』以上に躍動感にあふれ、命を与えられた水の豊かな表現力の高さが圧倒的でした。
主人公の彼氏が命を落とすというショッキングな展開が中盤にありながら、決して悲壮感にとらわれず、でもストレートに前向きな訳でもなく、迷いながら必死に前進する姿に胸を打たれます。それと同時に、問題を抱えた彼氏の妹の成長も瑞々しく、映画に華を添えています。
主人公と彼氏の声を務めた2人の若手には、ぎこちなさもありますが、ひたむきに演技をしている様子が感じられ、決してマイナスになってはいません。
『ルーのうた』同様、主題歌が意味をもって映画に大きな役割を果たすのも面白いです。
★★★★。良作です。
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