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2019年06月15日00:50

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大作と小品のあいだ 『戒厳令の夜』

日本映画専門チャンネルの鶴田浩二特集で、見たかった珍品『戒厳令の夜』が放送されたので、録画しつつ見ました。これもまた、好きなジャンルである1970年代邦画の1作です(正確には1980年の映画)。

この映画の顛末については「70年代日本の超大作映画」(樋口尚文・著)に詳しいです。

昭和55(1980)年、東宝映画が配給しています。


【物語】
ルポライターの江間(伊藤孝雄)は、たまたま入った博多のバーの壁に、南米某国出身の画家パブロ・ロペスの絵がかかっているのを見つけ、驚愕する。パブロ・ロペスは戦前に死んでおり、現存する作品は少なく、希少であった。
江間は大学時代の恩師で、美術史家である秋沢(佐藤慶)にそのことを報告したが、秋沢は翌日自殺してしまう。
パブロ・ロペスの絵画を見たことがあるという数少ない人物を探して、江間は九州政財界の黒幕である鳴海(鶴田浩二)に協力を依頼する。


…存在しないはずの世界的絵画が日本で発見されたことを辿り、巨大な陰謀の存在へと結びつくという、ミニマムからマキシマムへと視点を変えていく展開のしかたは面白かったです。

しかしこの映画、全体的には異様な空気に満ちています。その要因の1つが、16ミリフイルムを使った”スーパー16mm方式”なる撮影方式による粒子の粗い映像です。

せっかく海外ロケを敢行して撮った映像も、16ミリフイルムからブローアップされた映像では迫力も臨場感もなく、ただただ平坦でしかありません。

主演の伊藤孝雄が地味すぎる分、政界のフィクサー役の鶴田浩二、その協力者である浜村純、フランス人妻とべったりの美術教授の常田富士夫など、個性的な俳優陣との共演はそれなりに楽しめます。しかし純粋な東宝映画ではないためか、東宝の看板的俳優はほとんど出ず、寂しい映画でした(ちょっと前に豪華キャスト『日本のいちばん長い日』を見ているだけに…)。

風格は大作なのに仕上がった映画は小品。山下耕作監督のフィルモグラフィの中でも特異な1編かと思います。

★★★
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