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2018年09月28日17:01

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沈黙の恐怖でベストテン更新 『クワイエット・プレイス』

また一つ、今年の個人的ベストテンを上書きする映画を見ました。

俳優のジョン・クラシンスキー(新ジャック・ライアン)が脚本・監督・主演を務めたホラー映画『クワイエット・プレイス』です。

音を立てると攻撃してくる謎の生命体がいる日常の中で、出産を控えた母と家族が直面する恐怖を描いた作品。今年の4月に全米公開され、メガヒットを記録しました。

ヒットの理由は、無駄の一切ない、恐怖に特化したシンプルで力強い演出力の高さにあります。
ヒッチコックを彷彿とさせる演出力です。


【物語】
宇宙から飛来した生命体により、人類がほとんど絶滅した近未来。彼らは音に激しく反応し、その攻撃力の前に人類な成す術がなかった。

アメリカの片田舎で自給自足の生活を送るアボット一家は、1年前に次男を失い、母(エミリー・ブラント)と父(ジョン・クラシンスキー)、長女(ミリセント・シモンズ)、長男(ノア・ジューブ)の4人で音を立てずに暮らしていた。些細な音にも反応する生命体のため、会話は手話で行い、道には音を防ぐための砂をまき、裸足での生活を余儀なくされていた。

妊娠中の母の出産予定日が近づいたある日、音を立ててしまった一家のもとに、生命体が押し寄せる。


…文明が停止した世界を描くディストピアSFとしての面白さもありますが、監督の描きたかったのは、極限状況の中での家族の絆でしょう。家族に勝るものなしというのがアメリカ映画らしいです。90分間、まったくの無駄を排して恐怖を感じさせるこの映画において、安心を得られる重要な要素です。

映画に詰め込まれた技巧は紛れもなく、伝統的なサスペンス映画のものです。

中盤、一家が暮らす家の階段に突き出たある物が、強烈な小道具として見る者の恐怖心を煽りまくるのですが、それはかつてヒッチコックが得意としていたテクニック。複雑なVFXはありません。計算された演出と、俳優陣の高い演技力があるだけです。

必死に子どもを守る両親を演じた2人は、実生活でも夫婦であり、息はぴったり。演技以上の愛情を感じます。

子どもたちの1人、長女役のミリセント・シモンズは、劇中の役と同様に耳の聞こえない子だそうで、そこにも演技以上の(この子でしか演じられない)質感が滲み出ています。この子の目線にカメラが切り替わると、音響も切り替わるという演出が施されており、それが映画の後半で重要な役目を果たします。

去年の『IT』もそうでしたが、ベストテンに堂々と食い込む、これは見事な映画です。★★★★。
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