先日見た東宝特撮映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』の姉妹編、『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』を日本映画専門チャンネルで見ました。
他方面に影響を与えたという点では前作以上の特撮映画です。
この映画がなければ『キル・ビル』も「進撃の巨人」も生まれなかったというのが定説なほど。
インパクト大の傑作です。
1966(昭和41)年の東宝映画作品。
【物語】
浦賀の沖合で、貨物船や漁船が相次いで消息を絶つ。
生存者が、「海中から現れた巨人が乗組員を食った」と語ったことから、かつて研究所で育てられ、山に逃げた”フランケンシュタイン”の怪物の仕業であることが危惧されたが、研究者のスチュワート博士(ラス・タンブリン)と戸川研究員(水野久美)はこれを否定する。
やがて海から現れた巨人”ガイラ”は羽田空港を襲い、甚大な被害が出る。
…前作の”フランケンシュタインの怪物”は、ナチス・ドイツが開発していた人工心臓から成長したという設定が明らかでしたが、今回はその出どころが明らかになりません。「富士山麓の割れ目に落ちて死んだはず…」というセリフがありましたが、前作の怪物とは造形がまるで異なるばかりでなく、前作には無かった幼少期の怪物が過去シーンとして登場するので、前作とは別物と見た方がよさそうです。
人間に育てられた善の怪獣”サンダ”と、人間を貪り食う”ガイラ”の闘いには悲壮感が漂い、それまでのどの東宝怪獣映画とも毛色が違います。傷ついたガイラを助けたものの、人間を喰らうガイラを許せず、結局は身を挺して滅びの道を歩むサンダの姿には、『地球より2千万マイル』の金星竜イミールの最期が重なりました。
人間ドラマが面白かった前作とはまた対照的に、今回はやる気のないラス・タンブリンが主役。楽しそうに演じていた(日本側スタッフとの相性も抜群だった)前作のニック・アダムスとは正反対で、水野久美との相性も悪く、現場では緊張感が漂っていたとか。それがスクリーンに現れてしまっています。
ミニチュアワークスはここでも芸術の域。瓦礫と化す都市の残骸はもちろん、山海などの自然描写、精密なマット・ペインティングなど、どこを切り取っても一枚絵のようです。殺獣兵器”メーサー”砲の格好の良さといったらどうだ。
若き日のブラッド・ピットが衝撃を受け、諌山創はこの映画にインスピレーションを得て「進撃の巨人」を描き、タランティーノはユマ・サーマンとダリル・ハンナにこの映画を見せてから『キル・ビルVol.2』を撮ったという、後世に与えた影響も計り知れない作品です。
★★★★。
ログインしてコメントを確認・投稿する