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2017年12月08日19:13

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ケネス・ブラナー監督作としてはNo.1 『オリエント急行殺人事件』

アガサ・クリスティの同名小説の2度目の映画化となるミステリ、『オリエント急行殺人事件』を見て来ました。

シドニー・ルメット監督による1974年版…1回目の映画化…が好き過ぎる自分にとっては過酷な鑑賞となりましたが、悪くはなく、危惧していた「改悪」ではなかったのでほっとしたところです。

監督でもあり俳優でもあるケネス・ブラナーが名探偵ポアロ役を務め、自ら監督もしています。
また、プロデューサーの1人にリドリー・スコットが参加しています。


【物語】
1934年。エルサレムで事件を解決したエルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)は、イスタンブールで休暇を取る予定でいたが、別の事件の捜査の依頼が来たため帰国を余儀なくされる。フランスを経由してロンドンへ向かうため、オリエント急行に乗り込んだポアロは、アメリカ人実業家のラチェット(ジョニー・デップ)に身辺警護を依頼されるが、これを断る。
やがて列車は雪崩にあい、立ち往生をする。翌朝、ラチェットの他殺遺体が客室で発見される。


…74年版ほどではないものの、今回の映画版でもスターが揃っています。そのキャスティングは、

●エルキュール・ポワロ:ケネス・ブラナー
●ラチェット:ジョニー・デップ
●ハバード夫人:ミシェル・ファイファー
●ドラゴミロフ伯爵夫人:ジュディ・デンチ
●ハードマン:ウィレム・デフォー
●メアリー・デベナム:デイジー・リドリー
●ピラール・エストラバス(原作のグレタ・オルソン):ペネロペ・クルス
●マスターマン執事:デレク・ジャコビ

…という顔ぶれ。逆に、74年版でショーン・コネリーが演じたアーバスノット大佐(今回は医師)、マーティン・バルサムが演じたポアロの親友ビアンキ(今回は原作通りにブーク)、ジャン・ピエール、カッセルが演じた車掌のピエール、アンソニー・パーキンスが演じたラチェットの秘書のマックィーンには、それほど知名度の高くない役者が充てられています。

役名や人種にも変更が見られ、特に乗客の人種をめぐる緊張感のあるやり取りは、現代的とも言えます。


自身の映画と役に酔うタイプの監督・俳優であるケネス・ブラナーなので(その最たる映画が上映時間4時間超の『ハムレット』)、大いに心配だったのですが、その点は杞憂でした。65ミリフィルムで撮影するなど、映画的な面白さを追求する姿勢は大いに評価できます。1930年代の空気・雰囲気の醸成や、オリエント急行のセットは見どころの一つです。


アルバート・フィニーやピーター・ユスティノフ、デビッド・スーシェが築いてきたポアロ像を踏襲しつつ、新たなポアロを演じて見せた俳優としてのケネス・ブラナーも良いです。かつての恋人に想いをはせ、特に激高し、時に非常に行動的な一面を見せる新しいエルキュール・ポアロの登場です。


最も、致命的な欠点もあります。
74年版でも日本の三谷幸喜版でも守られていた、クローズド・サークルとしてのミステリーが非常に弱いのです(雪崩で立ち往生するはずのオリエント急行に、すぐに救援が来てしまうのはマズい)。「孤立無援」な状況がサスペンスを盛り上げる重要な要素だっただけに、この点は失敗でした。

74年版では、映画のもう一つの主役とも言えるほど重要だった音楽(リチャード・ロドニー・ベネット作曲)も、今回のパトリック・ドイルのスコアはあまりに淡泊で、無印象なのも残念でした。


それでも楽しんで見られたので一安心です。★★★


※この映画をもって、今年の劇場鑑賞映画はちょうど100本となりました。

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