ダグ・リーマン監督のちょっと変わった戦争映画『ザ・ウォール』を見て来ました。
この映画、上映時間81分という短さながら、尋常ではない緊張感が持続する凄い作品です。
レンガの壁をはさんで膠着状態に陥った2人のスナイパーの、ほぼ会話劇という構成。
人間の登場人物はほぼ2人のみです。
【物語】
2007年、終戦末期のイラク。
米軍の狙撃手、マシューズ軍曹(ジョン・シナ)とアイザック軍曹(アーロン・テイラー・ジョンソン)は、石油パイプラインの建設現場に偵察にやって来るが、作業員と警備員は全員射殺されていた。
伝説のイラク軍スナイパー”ジューバ”の仕業ではないかと警戒する2人だったが、マシューズが狙撃されて倒れ、アイザックも足に大怪我を負う。
崩れかかったレンガの壁の影に身を隠したアイザックは、敵スナイパーからの無線通信を受け、自分が逃げられない状況であることを知る。
…ロマン・ポランスキー監督の会話劇に『おとなのけんか』という映画があります。
4人の登場人物が口ゲンカをするというだけで、上映時間も短いのですが、人間の暗部がさらけ出されるブラック・コメディの傑作です。
本作は『おとなのけんか』に似ています。
壁の向こうのどこにいるかが分からない敵スナイパー、怪我をしている自分、水もなくて通信機も故障という極限状態。主人公はすべてをさらけ出し、もがき、必死に敵を倒す作戦を練ります。
その間の2人…イラクの狙撃兵と主人公のアメリカ兵の会話は秀逸です。
無線機を通して、畳みかけるように質問をしてくる敵。「何しにイラクに来たのか?」「その壁が学校の一部だったことを知っているか?お前らが爆撃した学校だ」「生きて帰りたいか?本当は戦場にいたいんじゃないのか?」…主人公は激痛に耐えながらも、振り絞るような声でそれに答えます。
人それぞれですが、見ようによってはやり切れないラストを迎えるのも、9.11後のアメリカ映画をよく表していると言えそうです。見終わったあと、喉がカラカラに乾くような感覚に襲われました。
ほぼ一人芝居のアーロン・テイラー・ジョンソンもいい。★★★。
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