ジョン・ル・カレのスパイ小説を映画化した『われらが背きし者』を国内盤ブルーレディスクで見ました。昨年秋の公開時に劇場で見逃していたものです。
ル・カレの映画化に外れは少ないという定評があります。
この作品も良く出来ており、女性監督スザンナ・ホワイトの繊細な描写もあり、見ごたえのある力作でした。
【物語】
モロッコで休暇旅行中だった英国人大学教授のペリー(ユアン・マクレガー)と妻のゲイル(ナオミ・ハリス)は、ディマ(ステラン・スカルスガルド)というロシア人と知り合いになり、彼の家族のパーティにも招かれるようになる。
実はディマはロシアン・マフィアの大物であり、マネー・ロンダリングの極秘情報と引き換えに、英国への亡命を望んでいたのだった。情報の入ったメモリを託されたペリーは、帰国後、Mi-6要員のヘクター(ダミアン・ルイス)にメモリを渡す。ヘクターはペリーとゲイルを利用し、秘密裡に亡命作戦を遂行しようとするが…。
…ル・カレのエスピオナージには、まったくの民間人が非情な諜報戦に巻き込まれる物語(『テイラー・オブ・パナマ』)と、くたびれた情報部員が決死の思いで諜報戦に身を投じていく物語(『寒い国から帰ったスパイ』『裏切りのサーカス』『誰よりも狙われた男』)とがありますが、今回の映画は前者に当たります。およそ諜報活動とは無縁の日常にいた夫婦が、日常とはかけ離れたスパイの世界にはまり込んでいく恐ろしさと面白さがあります。
主人公の夫婦を演じるユアン・マクレガーとナオミ・ハリスは、それぞれアクション映画でも活躍の経験があるので(ナオミ・ハリスはミス・マネーペニーだし)、「平凡な夫妻」という感じがしないのが難点。老練なロシアン・マフィア役のステラン・スカルスガルとMi-6の中間管理職部員ダミアン・ルイスは良かったです。
ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の知る人ぞ知るスパイ映画の傑作『カンパニー・マン』では主人公役だったジェレミー・ノーサムが、原題にもある”裏切者”政治家に扮していましたが、こちらはインパクトに欠ける役でした。
モロッコやフレンチ・アルプスでの撮影が非常に美しく、スパイ映画の非情さを際立たせておりました。★★★。
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