期待半分・怖さ半分で『ゴースト・イン・ザ・シェル』を見て来ました。
原型となった押井守監督の映画『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(1995)は、自分の「映画の見かた」を大きく変えた作品。22年前の初公開時、ロードショーで受けた衝撃は今でも忘れられません。
そんなパイオニア的映画のハリウッド・リメイクです。
期待と怖さが50/50なのも当然な訳です。
※以下、映画の内容に触れる箇所があります。未見の方はご注意下さい※
【物語】
人びとが”電脳”によってネットに直結し、高度に情報化した近未来。
電脳犯罪を取り締まる「公安9課」のミラ少佐(スカーレット・ヨハンソン)は、芸者ロボットによる電脳医療関係者への襲撃事件の現場に突入。関係者が所属していたハンカ・ロボティクス社は、少佐の”義体”を開発したメーカーでもあった。捜査を進める少佐は、事件の影にいる男”クゼ”に、自身とのある共通点を見出す。
…士郎正宗と、漫画「攻殻機動隊」+押井守の劇場版が映画界に落とした爆弾のような影響は、様々な映画人に及び、アメリカでも類似したSFアクション『イーオン・フラックス』などが世に出るまで至っています。しかし今回の『ゴースト・イン・ザ・シェル』は、そういったアメリカ映画の中でも特異な存在。押井守版『攻殻機動隊』に続編『イノセンス』をミックスさせ、かなり忠実にトレースしているのです。
2作品の主題は異なります。
押井版はネット社会の到来を予言した奇跡の作品。
今回のルパート・サンダース版は、脳以外のすべてが完全義体のヒロインによる自分探しの物語です。
でもこれほどまでに、オリジナルへの愛を込めたアメリカ映画は奇特と言えます。
ギャレス・エドワーズ版『GODZILLA ゴジラ』の比ではありません。
冒頭の”少佐の義体”製造工程はオリジナルそのもの。
芸者ロボットは自壊する直前に「助けて」と呟くし、スラム化した高層ビルの谷間からは巨大な航空機が垣間見える。
バトーはバセットハウンドを可愛がり(その名も”ガブリエル”!!)、ダイビングをする少佐を心配する。
エンディング・テーマは押井版の川井健次作曲のあの名曲です。
それらはただの押井版のコピーに留まらず、独自の美学を絡ませているため、安易なオマージュで終わらなかった点は、高評価に値します。
例えば、北野”ビート”たけし扮する荒巻課長は、押井版にも神山版にもなかったガン・アクションを披露。リボルバーで敵を返り討ちする際のセリフもいい(「狐を殺すのに兎を送り込むな!」)。
クライマックスでスカーレット・ヨハンソン=ミラ少佐の本当の名前が明らかになるシーンでは涙が出ました。
そしてもう一つ、今回見た日本語吹き替え版にも大きな意味があります。
押井版(と神山版)の主役のふたり…田中敦子=少佐、大塚明夫=バトーという最高の組み合わせの吹替えが実現しているのです。感涙必至です。
下手をすると、チープなハリウッドリメイクになりがちな「攻殻機動隊」を、力業と監督の愛で乗り切った今回のハリウッド版。良くやってくれました。★★★★。
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