BSプレミアムで放送された、ドン・シーゲル監督の『突破口!』を、「ちゃんと」見ました。
「ちゃんと」というのは、カットされたTV放送版をおそらく昔に見ているからです。
180度、評価が一変しました。
今更ながら、これは傑作です。
1973年、ユニヴァーサル製作のアメリカ映画です。
【物語】
妻や仲間たちと共に地方銀行を襲い、生計を立てていた元パイロットのチャーリー・ヴァリック(ウォルター・マッソー)。今回もいつも通りに小さな銀行を襲い、小金を強奪したつもりだったが、警官に撃たれて仲間と妻は死亡。しかも奪った金は小金どころか75万ドルもの大金だった。
マフィアの裏金を奪ってしまったことを察したチャーリーは、生き残った仲間のハーマン(アンディ・ロビンソン)とトレーラーハウスに籠るが、マフィアが差し向けた殺し屋のモリー(ジョー・ドン・ベイカー)が2人に迫る。
…ドン・シーゲルも、70年代アクションを代表する名監督の一人。
この映画の前に撮った『ダーティハリー』(1971)はアメリカ映画史に残る代表作ですが、個人的には『突破口!』の方に軍配を上げます。
クリント・イーストウッドのようなタフガイではない、どちらかというと見た目は頼りなさげなウォルター・マッソーが主人公。しかしこの男、敵の数手先を読む頭脳と抜群の行動力を持ち、あげくの果てには敵方の女秘書と寝てしまうしたたかさもある。それを演じるのがあのウォルター・マッソーですよ。ビリー・ワイルダー作品やジャック・レモンとのコンビで映画史に名を残す名コメディアンです。『サブウェイ・パニック』もそうですが、アクション映画でもキレの良さを見せる、これはウォルター・マッソーの最高傑作のひとつです。
タランティーノなど、数々の映画人に愛されている作品なのも納得です。
主人公の行動(銀行強盗)には筋の通った美学のようなものがあり、ハリウッド伝統のフィルム・ノワールとはまた違う、孤独な男の責任感のようなものが感じられ、それが滅法かっこ良いのです。
他のキャストも良く、カウボーイ・ハットをかぶった不気味な殺し屋役のジョー・ドン・ベイカーは、007シリーズの『リビング・デイライツ』ではジェームズ・ボンドの敵を、『ゴールデンアイ』ではボンドの相棒役を演じた稀有な俳優です。完膚なきまでにウォルター・マッソーにしてやられるラストは爽快そものもです。
ラロ・シフリンの音楽もクールでした。
犯罪映画はかくあるべき。ウォルター・マッソーの”漢”ぶりに惚れる映画です。
★★★★。
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