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2016年03月05日20:09

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邦題が盛大に誤爆 『マネー・ショート 華麗なる大逆転』

今年のアカデミー賞で5部門にノミネートされ、脚色賞を受賞した『マネー・ショート 華麗なる大逆転』を見てきました。

ご注意ください。この映画、10年前に米国から始まった金融危機を描いた実話がもとになっていますが、華麗でもなければ大逆転もありません。

史実のとおり莫大な額の不良債権と失業者を産む結末には、うすら寂しい思い現実の冷たさだけが漂います。


【物語】
2000年代初頭のアメリカ。
トレーダーのマイケル・バーリ(クリスチャン・ベール)は、格付けAAAの住宅ローン担保証券(MBS)が債務不履行に陥る危険性が高いことに気づき、サブプライム・ローンの価値が暴落した際に巨額の保険金を手に入れるという契約を大手銀行と結ぶ。

バーリの動きを偶然知った銀行家のジャレッド・ベネット(ライアン・ゴズリング)は、大手銀行に激しい不信感を持つヘッジファンドのマーク・バウム(スティーブ・カレル)に話を持ちかけ、大規模な金融破綻に備えた投資を薦める。

やがて、住宅ローン市場の債務不履行が激増し、世界金融の崩壊が始まる。


…マーティン・スコセッシの『ウルフ・オブ・ウォールストリート』とは似て非なる映画なので、エンターテイメントを期待すると的外れですが、難解な金融用語を奇想天外な方法で解説する(観客に語りかける)ユニークな演出があり、見ていて飽きませんでした。

しかし最初にも触れたように、金融危機を察知して富を得た一部のアウトローたちとは正反対に、家や職を失ってどん底に叩き落された膨大な数の人たちがいるわけで、”華麗なる大逆転”とはいかないのです。そこはコメディ畑出身の監督も良く分かっているようで、きちんと描かれています。

ハリウッド映画の王道パターン、悪者が叩きのめされて主人公は名声を得るというような、映画的カタルシスも描かれません。

金融危機の現実化を知ったヘッジファンド・マネージャーのスティーブ・カレルが、あまりの規模の大きな世界的損失を知り、思わず涙を流すシーンには、静かですが強い説得力がありました。血も涙もない金融業界の中で、誇りをもって働いていた男の行き場のない憤りがあり、見事でした。

★★★。誤爆した邦題の副題に注意です。


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