ワーナーの受注生産方式のオンデマンドDVDで出た『殺しの許可証』を見ました。
1975年のアメリカ=オーストリア合作の映画で、むかしレンタルビデオで見て以来の再会。
暗い映画という印象がありましたが、やっぱり暗い映画でした。
4代目ジェームズ・ボンド襲名前のティモシー・ダルトンが出演しています。
【物語】
海外に亡命していた某国の大物政治家アレキサンダー・ディアキムが、自国への帰国を計画。
帰国を阻止せよという任務を帯びた情報部員アラン・カーティス(ダーク・ボガート)は、アレキサンダーの過去に関わる5人の一般人を脅迫して協力させ、作戦を開始する。
しかし、その5人の中のひとりのアメリカ人ジャーナリストが、カーティスの裏をかこうとしたことから、作戦に狂いが生じ始める。
※注意。映画のラストに触れています※
監督のシリル・フランケルは、日本でもほぼ無名の人ですが、撮影監督が『アラビアのロレンス』『007は二度死ぬ』のフレディ・ヤングでした。しかし映画のほとんどはどんより曇った薄暗い天気で、舞台となるオーストリアもどこか陰鬱な感じで、効果的なロケ地とは言い難いようです。
音楽のリチャード・ロドニー・ベネットも、『オリエント急行殺人事件』『10億ドルの頭脳』という傑作スコアがありますが、華麗なメイン・タイトルがある訳ではなく、地味なBGMに徹しているようです。
観客の神経をも逆なでする、非情な主人公スパイにダーク・ボガート。フランス製スパイ映画の傑作『エスピオナージ』でも似たような役でしたが、この映画では、無関係な一般市民を道具として扱い、用済みになったら消していくというとんでもない男を演じています。
主人公がそんな訳で感情移入の余地が全くない映画です。
共演のエヴァ・ガードナーも、利用される一般人の一人ですが、終始悩んでいるか泣いているような役で、見ていて辛くなります。
ティモシー・ダルトンに至っては、ホモセクシャルなイギリス人外交官という役です。
登場人物の大半が非業の死を遂げる中で、主人公の悪玉スパイだけが生き残ったかと思いきや、意外な人物に射殺されてジ・エンド。非情な諜報戦を描いた作品には名作もありますが、この映画に関しては、評価に大いに悩むところです。
★★★。
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