90歳近い今でもなお現役の、ポーランドの名監督アンジェイ・ワイダの映画が、WOWOWで連続放送されたので見ました。
アンジェイ・ワイダといえば”抵抗3部作”に代表されるような、政治闘争的な映画を撮る監督。
むかし良くNHKの教育テレビで放送されていた世界の名作映画の枠の中で見たっきりで、正しく見直す良い機会でした。
いずれも高画質なハイビジョン・マスターでの放送でした。
●『灰とダイヤモンド』(1958ポーランド)
1945年、ドイツ軍敗退後のポーランドで、党の大物を暗殺し損ねた反体制派の青年が、再度の暗殺を試みて自滅していく姿を描いた作品です。
最初の暗殺失敗から、警官に撃たれてゴミ捨て場で死んでいくまでの、ごく短い時間の主人公を捉えています。その間、バーの女に惚れたり、主人公が泊るホテルでひと悶着あったりと、人生の縮図のような人間関係が展開。
見るものが主人公に共感を覚えて間もなく、ひとりゴミ捨て場で悶えて死んでいく無常さ。
政治的背景よりも、人間の死の描き方が衝撃的です。★★★。
ヴェネツィア国際映画祭批評家連盟賞を受賞しています。
●『地下水道』(1957ポーランド)
ドイツ統治下末期のポーランドで一斉蜂起したパルチザンが、ドイツ軍の猛反撃にあい、全滅していく壮絶な様を描いた傑作です。
『007/ロシアより愛をこめて』のスペクターの作戦参謀・クロンスティーンを演じたヴラデック・シェイバルが、パルチザンに加わる一市民の音楽家を演じています。
これは凄い映画です。
パルチザンによる攻撃が失敗し、ドイツ軍が迫る中、地下水道を通って市の反対側に脱出しようとする人々が主人公の群像劇です。
悪臭と湿気が充満する狭い地下水道で、出口が見つからず、ある者は発狂し、ある者は怪我がもとで死んでいく。地獄のような惨状。
狭すぎる地下水道の圧迫感も相当のものです。『第三の男』のクライマックスにも、地下水道を効果的に使った名場面がありますが、この映画では後半がほとんど地下水道内で展開します。
出口が分かったと喜ぶ次の瞬間、仕掛けられていた爆弾を発見したときの絶望感。
出口と思いきや、太い鉄格子がはめらてていて出られないと分かった時の絶望感。
唯一、外に脱出できた将校が知る、衝撃の事実。また絶望感。
サスペンスとしても一級品の映画です。★★★★。
カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞しています。
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