ふだんは『大怪獣ヨンガリ』とか『人間革命』とか『巨大アメーバの惑星』とか、そういう映画ばかりについて書いていますが、ちゃんとこういう映画も見ているのです。
小津安二郎監督がめずらしく大映で撮った『浮草』を、ブルーレイ録画で見ました。
NHKのBSプレミアムで放送されたものです。
1959(昭和34)年の作品。
この時代の邦画といえば、監督は映画会社「付き」であることがほとんどで、松竹の小津安二郎、東宝の黒澤明などは有名ですが(どの会社でも撮っていた市川崑監督のような例外もあり)、この作品は小津安二郎が大映に招かれる形で製作されたものです。
中村鴈治郎扮する旅芸人の一座の座長が、公演で訪れたある町で、以前関係のあった女(杉村春子)とその息子(川口浩)に会うが、妻(京マチ子)の激しい嫉妬を受けて…という物語です。
初老であるが色気も気品もある旅の座長を中村鴈治郎が重厚に演じ、嫉妬深い妻を今日マチ子が妖艶に演じています。杉村春子、若尾文子もみんな良いです。
お気に入りの笠智衆は出番が少なくて残念。
宮川一夫による、ドイツ製のアグファ・カラー・フィルムで撮影された濃い色彩が非常に美しく、空の青色は深く青く、真紅の花は深く赤い、鮮明で温かみのある色彩設計が素晴らしいです。
ところでこの映画、三重県伊勢市でロケーションされています。
伊勢市といえば小津安二郎監督の出身地(当時は宇治山田市)。市川崑監督、高畑勲監督の出身地でもあり、日本映画界の三巨頭を輩出した、実は凄いところでなのですね。
自分はそこに4月まで住んでいた訳ですが、伊勢の玉城町というところにJRの田丸駅があり、仕事場がすぐ近くにあったので毎日のように通っておりましたが、この田丸駅でも『浮草』のロケが行われております。
何とも風情のある駅舎で、以下の写真の通りです(現在の様子です)。
仕事中にたまたま立ち寄った伊勢市内の公演で、小津監督の記念碑も見つけました。
映画の『浮草』同様、真夏の暑い最中、携帯で撮った写真が右の画像です。
いま思えば、住んでいたころにもっと、小津監督ゆかりの地を歩いて回るべきでした。
(ぜんぜんPRされていないのです…)
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