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2023年07月14日21:19

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浮世の謎(121) イスラム教社会の構造と民主化の逆効果

 軍事独裁以外の民主的なイスラム教国は祭政一致になってしまう。ほとんどが信者の国民はイスラム法学者(実質的に僧職。仏教やキリスト教では寺院に所属するが、イスラム教では僧職制度がない)の教えに従う。
 典型的にはイランのホメイニ革命で、それまでの王政が倒れて、ホメイニ派の祭政一致独裁になった。王政と違って祭政一致なので逃げ場がない。
 アフガニスタンのタリバン独裁も同様。強力な軍事独裁で自由な生活を守らないと簡単に倒される。日本の新聞記者はイスラム社会での「民主化」の意味が分かっていない。

 1.エジプト 遠い民主化 同胞団は現在も監視対象
1981年 ナセル後継のサダト大統領がムスリム同胞団に暗殺され、ムバラク大統領が後継政権になった。
2011年 ムバラク大統領の独裁政権は「アラブの春」で崩壊
2012年 ムスリム同胞団のモルシが大統領に当選
2013年 シシ国防相のクーデターで、モルシ大統領解任し同胞団をテロ組織に認定
2018年 選挙でシシ大統領当選

 ナセルの軍事革命でイスラム法学者たちを抑えて、宗教と政治が分離されたが、軍事独裁が緩むと民主的にイスラム法学者の支配政権になる。危うくそうなるところを、ナセルの弟子筋の軍人政権で穏健なイスラム教国に留まった。
 トルコもケマルパシャの軍事革命で政教を分離し、今のエルドアン独裁政権もその範囲にあると思う。イスラム原理主義はは女性の会社勤務を含めて社会参加を認めないので、原理主義が復活したかどうかすぐに分かる。。

 2.イラク開戦20年 民主化に対して宗派と部族の壁
 イスラムにはスンニー派とイランを中心としたシーア派があるが、さらに多くの部族と分派がある。
 イラクがその典型で、アメリカのブッシュ息子政権がサダム・フセイン大統領の独裁を倒したことで混乱が収まらない。
 元はと言えば、フセインがクウェートを併合しようとして占領したからだが、アメリカは英仏などが助言したようにクウェート解放で止めておけばよかった。

 3.少年が警官に射殺されて移民たちが暴動を起こした。
 「アルジェリア移民系の不満噴出し分断浮き彫りになった」この見出しを書いた新聞記者は、移民を選ぶ民族性やイスラム教の特質を理解していない。旧約聖書によれば、モーゼは乳と蜜の流れる土地、今のイスラエルを軍事的に征服した。
それはイスラム教でも正しいことで、イスラム教国を増やすために乳と蜜の流れる国に移民すればよい。確かに海を渡るのは命懸けだが宗教は死を恐れないわけで。
 しかし豊な国に移民すれば豊かになれると思う方がおかしい。アルジェリアが豊かな国になるように努力すべきだなのだが、歴史的にもそのような思考回路がないらしい。日本も戦前は満州にアメリカに移民し、アメリカ移民が禁じられた後、戦前から戦後のしばらくまでブラジル(アマゾン中流のマナウス)に移民した。それは働けば農地が手に入ると思ったからで、直接豊かさのおこぼれにあずかれると思ったからではない。 
  
 アメリカへの日本人移民が認められたのは日系人部隊がイタリアからドイツを攻めるのに成功したからで、記録的な死傷率だったが、与えられた勲章も記録的だった。
生死を共にしないとその国の国民と認めてもらえないわけである。

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