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2020年06月07日10:30

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仏教12〜六道の構造

 六道の構造について述べる。

(1)地獄道
 地獄は、地下の牢獄の意味である。現世で悪業をなした者が、その報いとして死後に苦果を受ける領域である。
 地獄には、等活・黒縄(こくじよう)・衆合・叫喚・大叫喚・焦熱・大焦熱・無間(むげん)という八つの地獄があるという。合わせて、八大地獄または八熱地獄という。
仏教の地獄は有限である。一番短い刑期が、1兆6200億年とされる。地獄に堕ちると、最低でも1兆6200億年苦しむ。地球が誕生して46億年といわれるから、その352倍にもなる長さである。これは、地獄に落ちると、絶対に救われないというにほとんど等しい。
 キリスト教の地獄は時間的に無限である。人間は死んだ後、世界の終末における最後の審判までの間は、仮の死に当たる。この世界の他に天国と地獄が存在すると説くほかに、カトリック教会では煉獄も想定する。最後の審判の時、すべての死者が裁かれ、神によって永遠の生命か永遠の死かに分けられる。永遠の死を与えられたものは、もはや救いを得る道はない。人生も世界も一度限りであり、二度目のチャンスはない。一回限りの歴史と一回限りの人生で、永遠の未来が決定する。
 この点、仏教では、たとえ地獄に堕ちても、永遠に堕ちているわけではない。その地獄で長い間苦しんだ後、別の領域に生まれ変わる可能性がある。そこに極めてわずかだが、脱出の希望がある。地蔵菩薩は、地獄道にも現れ、地獄に堕ちた者を教化・救済するとされる。これは、菩薩の慈悲である。一方、キリスト教の神の愛は、永遠の死を与えた者に注がれることはない。

(2)餓鬼道
 常に飢渇に苦しむ餓鬼が住む領域。

(3)畜生道
 禽獣・虫魚である畜生が住む領域。

(4)修羅道
 絶えず闘争を好む阿修羅が住む領域。

(5)人間道
 人間が住む領域。

(6)天上道
 天人が住む領域。人間道よりは優れているが、なお輪廻を免れない領域である。欲界の六天、色界の十八天、無色界の四天という諸階層に分かれているとされる。これらの三界については、次の項目で述べる。
 天人は、天上道に住む、有情すなわち生命あるものの一種とされている。天人は、キリスト教・イスラーム教で天界の住民をいう天使の語で呼ぶことも可能だろう。人間より、すぐれた知的生命体であり、霊的生命体とも言える。人間より高級な霊魂や神々に当たる。ヒンドゥー教のインドラを仏教に取り込んだ帝釈天、ヴィシュヌを取り込んだ大黒天等がある。大乗仏教の一部では、それらを信仰の対象とするようになったが、天人は仏陀ではなく、また菩薩にも及ばない存在である。
 天人は一番下層の者、したがって寿命の一番短い者であっても、9百万年の寿命を持つ。人間に比べて極めて長命である。だが、天人の寿命もやがては尽きる。死ぬと、六道のいずれかの領域に再生し、その領域の住民となる。
 欲界の天人は、寿命の残りが少なくなると5種類の衰亡の相を現す。これを天人五衰という。五衰の内容は経典によって諸説あるが、『涅槃経』では「衣装に垢がつく」「頭上の花冠がしぼむ」「体が臭くなる」「脇の下に汗が流れる」「本来居るべき座に居ることを楽しまなくなる」という五相を挙げている。

 次回に続く。

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