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2020年05月15日11:36

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仏教3〜人口、分布、系統と宗派

●人口

・世界諸宗教で第4位
 世界の諸宗教の人口について、百科事典『ブリタニカ』の年鑑2009年版の「世界の宗教人口割合」は、キリスト教が22億5400万人(33.4%)で最大とし、続いてイスラーム教が15億人(22.2%)、ヒンドゥー教が9億人(13.5%)、仏教が3億8400万人(5.7%)としている。割合は、合計67億4960万人に対するものである。
 仏教は、しばしば世界三大宗教の一つといわれるが、人口では4位である。3位のヒンドゥー教の人口の半分を大きく下回っている。また、ヒンドゥー教と仏教の間には、無宗教7億6900万人(11.4%)、中国の伝統的宗教3億8720万人(5.7%)が挙げられている。
 米国ワシントンに本拠を置く調査会社ピュー・リサーチ・センターの2010年の調査では、キリスト教が22億人(31.4%)、イスラーム教が16億人(23.2%)、ヒンドゥ―教が10億人(15.0%)で、仏教は4億8800万人(7.1%)となっている。

・将来予測
 ピュー・リサーチ・センターは、世界宗教の将来予測を概ね次のように発表している。
仏教の人口は、2010年から30年の間は増加し、5億1100万人に上る。だが、2030年以後は減少し、2050年までに4億8600万人に下がる。2010年と大体同じ人口に戻る。
 2010年の時点で、仏教徒の99%はアジア太平洋地域に集中しているが、2050年にも98%は同じ地域に居住する。仏教徒のうち北米に住む者は、2010年の0.8%から2050年の1.2%に増える。欧州でも若干割合が増えると予測している。

●分布

 百科事典『ブリタニカ』の年鑑2009年版の「世界の宗教人口割合」によると、国別の仏教徒の人口は、次の通りである。

(1)中国   2億4413万人
(2)日本     8465万人
(3)タイ     6442万人
(4)ミャンマー  3841万人
(5)スリランカ  1445万人
(6)ベトナム   1438万人
(7)カンボジア  1369万人
(8)韓国     1105万人
(9)インド   925万人
(10)マレーシア   501万人

 また、国別の仏教徒の割合は、次の通りである。

(1)カンボジア  96.90%
(2)タイ    93.20%
(3)ミャンマー  80.10%
(4)ブータン   74.70%
(5)スリランカ  69.30%
(6)日本   67.00%
(7)ラオス   66.00%
(8)モンゴル   55.10%

●系統と宗派

 仏教の歴史については第2部で述べるが、大まかに言って、仏教は、歴史的に初期仏教、部派仏教、大乗仏教、密教に分かれる。
 現在の世界で、仏教には大きく三つの系統がある。信者の人口の多い順に、大乗仏教(マハーヤーナ仏教)、上座部仏教(テーラワーダ仏教)、チベット仏教である。それらの系統のもとに、多くの宗派がある。仏教には、キリスト教のローマ・カトリック教会のように正統を主張し、信徒の数でも群を抜いた中心的な宗派は存在しない。また、東アジア、東南アジア、チベット等で地域差が大きい。それがまた宗派間の違いの大きさともなっている。こうした差異の大きさと多様性は、キリスト教をはるかに上回っている。
 最大の信者人口を持つ大乗仏教は、中国、日本、韓国、ベトナム等に多い。インドから中央アジアを経て東アジアに広まった北伝仏教であり、漢訳仏典を基本とする。それが東南アジアの一部にも伝播した。大乗仏教の宗派には、インド以来の唯識派、中観派、浄土系諸宗派、シナ以来の天台宗、真言宗、禅系諸宗派、日本で発生した時宗、日蓮宗等がある。
 上座部仏教は、部派仏教の一宗派である。タイ、ミャンマー、スリランカ、カンボジア、ラオス等に多い。インドからスリランカや南アジア、東南アジアに広まった南伝仏教で、パーリ語仏典を用いる。スリランカの上座部仏教には、シャム派、アマラプラ派、ラーマンニャ派があり、他の国でも地域的な宗派がある。
チベット仏教は、チベット、ネパール、ブータン、モンゴル等に多い。大乗仏教のうちの密教がインドからネパールを経て、チベットの周辺やモンゴル等に広がったものである。チベット語訳の仏典を用いる。ゲルク派、カギュ派、サキャ派、ニンマ派等がある他、国によって地域的な宗派がある。
 なお、仏教は、発祥の地インドでは13世紀にほぼ消滅した。だが、インド独立後、カースト制に苦しむ不可触賤民(自称ダリット)約50万人が仏教に改宗したことで、仏教がインドで復活した。彼らは、新仏教徒と呼ばれる。
 仏教は、キリスト教離れの進む欧米で、信徒や共鳴者が少数ながら増えつつある。欧米への仏教の浸透は、日本の禅・日蓮宗(創価学会等)、スリランカの大菩提会、チベット人移民によるものが主である。

●文明学的位置づけ

 私は、ハンチントンに倣って、現代世界の主要文明を8つ数える。主要文明は、みな精神的な中核に宗教を持つ。だが、そのうちに、仏教系の文明はない。周辺文明には、南伝仏教系のタイ文明・カンボジア文明、チベット仏教系のチベット文明・モンゴル文明等がある。

 次回に続く。

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