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2020年01月13日09:34

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インド41〜初期仏教教団、根本分裂

●インド仏教の歴史的展開

 仏教は、釈迦生前に教団が形成された。釈迦の死後、彼の直弟子やその弟子や後継世代によって教団が発展し、初期仏教、部派仏教、大乗仏教、密教が展開した。
 釈迦の生きていた時代を含む150年ほどの期間の仏教を初期仏教という。原始仏教、根本仏教ともいう。だが、釈迦の死後100年ほど経った時に、教団の最初の分裂が起った。それ以後の仏教を部派仏教という。一度分裂した教団は、様々な部派に分裂を続けた。
 仏教は創設後、インドで一時、アーリヤ人のヴェーダの宗教より優勢になったが、ヴェーダの宗教は非アーリヤ系の土着の信仰を取り込んで、紀元前5世紀頃以降にヒンドゥー教へと発展した。仏教は、ヒンドゥー教の影響を受け、本来の無神教から有神教化するようになった。
 紀元前後に、在家者を中心に部派仏教を批判する大乗仏教が起こり、多くの信者を獲得していった。紀元500年頃には、大乗仏教が主流となった。これにより、仏教は有神教化が一層進むとともに、次第に教勢を失っていった。その後、紀元650年〜700年頃から大乗仏教の多くが密教化し、それによって命脈を保った。だが、13世紀にイスラーム勢力が侵入すると大きな打撃を受け、インドでは衰滅した。
 この間、スリランカ、チベット、東アジア、東南アジア等の各地に広まり、今日まで信仰されている。世界三大宗教の一つに数えられる。

●初期仏教教団

 初期仏教の教団をサンガと呼ぶ。サンガは「集団」「群れ」「共同体」「部族的な共和政体」などを意味する言葉で、そこから、「出家者の集団」「教団」を意味する。僧伽と漢訳する。
 ヴェーダの宗教では、修行者が集団を作ることはなかった。教団の形成は、仏教の特徴である。この特徴は、ジャイナ教にも共通する。
 仏教の教団は、王侯や新興商工業者の保護を受けて維持され、発展した。釈迦の教説は、弟子たちによって集成され、文献にまとめられていった。それが経蔵(スートラ・ピタカ)である。また、釈迦が定め、弟子たちが整備した戒律も文献にまとめられていった。これが律蔵(ヴィナヤ・ピタカ)である。
 釈迦の入滅後、教説や戒律を確定するための会議が行われた。これを第一結集(けつじゅう)という。この会議において、経蔵と律蔵が比丘たちによって決定された。こうして基本的な教義が形成された。
 教団の充実によって、仏教は一時期、ヴェーダの宗教をしのぐほどの教勢を示した。

●根本分裂

 釈迦の入滅後100年ほど経ったころ、教団の内部で大きな意見対立が起こった。戒律に関する新たな主張が現れたためである。10項目にわたる主張だったので、この事件を十事の非法という。その主張とは、戒律を緩めて、食事、飲み物、習慣等に関する例外を認めようというものだった。第10番目の「金銀を蓄えてもよい」という主張が最大の争点となった。長老たちは、10項目の主張を否定し、戒律を厳格に守るべきことを決定した。議論が起った時期については、紀元前3世紀のアショーカ王の時代という伝承もある。
 この事件を重く見た長老たちは、教義の乱れを質すため、700人が集まって会議を行った。これを第二結集という。この会議では、新たな聖典を編纂したのではなく、経も律も決して変えないことを再確認した。
 この決定に不満を抱く比丘たちは、大衆部(だいしゅぶ、マハーサンギカ)を形成した。長老を中心とする者たちは、上座部(テーラヴァーダ)を形成した。教団が二つに分裂したのである。これが根本分裂である。
 釈迦が教えたのは、出家者が厳しい戒律を守って修行に専念する道である。だが、根本分裂で現れた大衆部は、戒律の緩和を行い、さらに人の心は清浄であり、生死も涅槃も仮名(けみょう)すなわち現象に過ぎないと説くようになった。この思想を推し進めていけば、出家して解脱を目指す修行やそのための戒律の必要性は低下していく。そこに在家者を中心とした信仰が生じる土壌が作られ、その土壌から、後の大乗仏教の萌芽が生じることになった。

 次回に続く。

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