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2016年11月19日16:17

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映像の向こう側(69) 映画「ネバーランド」(原題 finding neverland)

1枚目 インディアンに扮したバリとデイヴィス夫人
2枚目 デイヴィス一家 真中が三男のピーター
3枚目 ティンカーベル(ディズニー)  いずれもネットから   

映画「ネバーランド」(原題 finding neverland)2004
監督 マーク・フォースター
ジェイムズ・バリ:ジョニー・デップ
デイヴィス夫人:ケイト・ウィンスレット
デイヴィス家の4兄弟・ジョージ、ジャック、マイケル
3男がピーター・デイヴィス:フレディ・ハイモア
興行師フローマン:ダスティン・ホフマン

 1903年人気劇作家のバリは新作を上演したが、不安が的中して散々の評判だった。喜劇だったのにとこぼすバリに、興行師のフローマンは評論家がだめにした。次で取り返してくれと頼まれる。
 ケンジントン公園のいつも想を練るベンチに行くと、ベンチの下に少年がいて「僕を踏まないで。悪者から隠れてるんだ」という。デイヴィス家の四男マイケルだった。悪者とは長男のジョージと次男のジャック。彼らはいつも「ごっこ」遊びをしているのである。
 バリはすぐに仲良くなって「ごっこ」遊びに加わる。劇作家なので扮装、小道具に不自由しないのである。そして、子どもたちの母親デイヴィス夫人とも親しくなる。

 デイヴィス家の父親は亡くなっていた。一家は貧乏なのだが、夫人の母親の援助で公園近くの屋敷に住んでいた。
 バリがこの話を妻にすると、元女優の彼女はデイヴィス一家を知っていた。そして、夫人の母親が富豪で演劇のパトロンだから、一家を招待しようと提案する。しかし、残念ながら夫人の母親には警戒されるばかりだった。娘は再婚を待つ身である。結婚している男が近くにいるとその妨げになると。
 それに、三男ピーターは打ち解けようとせず、「ごっこ」遊びにも加わらない。皆嘘だと、大人は嘘つきだと、父が死ぬ時誰も自分に知らせず会わせもしなかった、と言ってひきこもり状態になっていた。

 バリはピーターに打ち解けさせようとして、夏の間一家を別荘に招待する。そこでの「ごっこ」遊びをもとにして新作を書こうというのである。しかし、この行動は、バリの妻を怒らせ、夫人の母親を不機嫌にさせるばかりだった。それに、夫人の健康が急速に悪化していた。

 台本を見せられた興行師は、何このいっぱい変なキャラクターが出てくるおもちゃ箱は、というのである。しかし、ヒットを確信していたバリは、あちこちの25席分に客を入れるなと言う。開演ぎりぎりになって、孤児たちが見物に連れられてやってくる。開演の幕が上がると、そこはダーリング家の寝室で子どもたちの寝る時間だった。大きな犬のナナがかいがいしくベッドを整えて、子どもたちを叱り(唸り)ながら寝かしていた。
 まず、孤児の子供たちが笑いだした。自分たちのようだと思ったのだろう。そして、驚くべき空中飛行。ネバーランドのインディアン、チクタク時計を腹に呑んだ鰐に追われるフック船長、生意気でかわいいティンカーベル、彼女はピーターの代わりに毒を飲んで死に瀕している。何よりも、昨日のことは全部忘れるピーターパン。興業は大成功で、たちまちバリの代表作だと太鼓判が押される。

 しかし、デイヴィス夫人は死んだ。遺言は、母とバリが共同で子どもたちの後見人になって欲しいとのことだった。一方、バリの妻は離婚を決意して家を去る。

 ということで長いあら筋になったが、この映画は実話に基づいているとのことである。岩波少年文庫で「ピーターパン」を読んだのは小学生の時だったと思うが、子どもを産むかどうかは家計簿と相談して決める、という話に驚いたことを覚えている。小説では、ダーリング家は長女のウェンディに弟二人、それに子守代わりの犬のナナ。ナナが不審者の侵入を警告しているにもかかわらず夫妻は子どもを寝かせて劇場に出かけ、その間にピーターが三人を連れだしてしまうのである。子どもたちが帰宅した時父親は犬小屋にいた。俺は犬に劣るとの自己処罰だったのだが、幼い下の弟はお父さんは犬小屋にいたんだったっけと混乱するのが面白かった。
 ファンタジー「ピーターパン」のテーマは死と永遠、そして願いであろう。こうありたいとの願いは「ごっこ」になる。三好京三「子育てごっこ」の本意もそこにある。一旦失敗したわけだが、あとで取り返している。
 映画にも描かれていたが、ティンカーベルの光が消えかかる時、切羽詰まったピーターは観客に「ティンクが好きだと言ってください、そうすれば生き返ります」。と訴える。
 この設定は、実際の三男のピーターに願いは実現する、「ごっこ」は嘘ではないと説得したという実話からヒントを得たことになっている。
 「時計を飲んだ鰐」など時間に制限される生物の象徴だろうし、昨日のことを忘れてしまう永遠の少年は、小川洋子「博士の愛した数式」にイマジネーションを与えたに違いない。

 で、ケイト・ウィンスレットの名前から、以前見た映画を思い出した。ジェイン・オースティン原作「いつか晴れた日に sense and sennsibility」だった。


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