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2016年10月07日11:58

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蓮舫氏の二重国籍事件〜公人としての責任を問う7

●国会議員の二重国籍を禁止すべし

 民進党代表・蓮舫氏の二重国籍事件は、戦後日本初めての国会議員の国籍に関する重大事件である。近代国家・日本で初めての事件と言ってもいい。この蓮舫二重国籍事件で、我が国における国籍の問題が戦後初めて表面化した。
 我が国は、法律で二重国籍を原則禁止としている。国籍法14条で、二重国籍者は22歳までに国籍を選択しなければならないと定めている。これは義務である。また同法16条は「(日本国籍)選択の宣誓をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない」と定めている。これは努力義務である。15条に、法務大臣はその期限内に日本の国籍の選択をしないものに対して、書面により国籍の選択をすべきことを催告することができると定めている。だが、この催告を徹底していない。外国籍離脱の努力義務には期限がなく、督促もない。そのため、我が国には14万人もの二重国籍者がいるのではないかといわれるような状態になっている。
 国会議員が二重国籍であることを、法律で禁止していない。二重国籍者でも国会議員になれるということである。国政の被選挙権は、衆議院議員が25歳以上、参議院議員が30歳以上である。22歳までに国籍選択の義務を定めていながら、その年齢までに選択の宣誓をしておらず、またその後、外国籍の離脱に努力していない者でも、被選挙権が与えられてしまう。外国籍を離脱していない者が国会議員になった場合も、いつまでに外国籍の離脱をしなければならないという定めがない。そのままの状態で議員の地位を保ち続けることができてしまう。蓮舫氏は、二重国籍の状態で参議院議員となり、旧民主党時代には閣僚を務めた。だが、今回まで大きな問題にならなかった。もし民進党が政権を取れば、蓮舫氏は二重国籍のままで首相になれてしまうところだった。これは、独立主権国家として、極めて大きな法的な不備である。
 たとえば、米国の場合は、合衆国憲法第2条に「出生による合衆国市民以外は大統領となることはできない」などと資格や条件を詳細に規定し、国のかじ取りをあずかる大統領については多様性とは峻別し、厳格な要件を定めている。その理由は、大統領が国家・国民の利益擁護を至上の課題とし、国家安全保障にも重大な責任を負っているからである。
 蓮舫二重国籍事件で、我が国の国家としてのあり方の問題点が浮かび上がった。国籍の問題は国家の統治権の根本に関わる重大な問題である。これを正していかないと、日本の再建はできない。
 日本維新の会は、9月27日国会議員の二重国籍を禁止する公職選挙法改正案を参議院に提出した。外国籍を持つ場合は国会議員の被選挙権を有しない等が盛り込まれている。片山虎之助共同代表は、「国会議員になりたいような人は、二重国籍をチェックして、そうならない法的な措置が必要」、足立康史政調副会長は「私は蓮舫法案と呼んでいる。国益にのっとって国民の生命と財産を扱う立場の国会議員は二重国籍禁止に」と述べた。
 これまでの国籍に関連する法律のあいまいさを改善するために、極めて重要な法案である。少数党の提案だが、日本の国政を担う国会議員は、与野党を問わず、当然賛成すべきものである。敢えて反対する者は誰か、特に自民党・公明党の議員の発言・行動が注目される。
 28日の衆院本会議で、安倍首相が所信表明を行った。これに対する代表質問で、日本維新の会の馬場伸幸幹事長は、「二重国籍者は外交官になれない。日本と外国の2つの国籍を持つ者が外交に携われば、わが国と当該国で利害対立があれば、国益が損なわれる恐れがあるからだ」と発言。「二重国籍者に、国政選挙での被選挙権などに一定の制限を課すべきだ」と主張し、首相に公選法改正の必要性を問うた。
 この質問に対し、安倍首相は「被選挙権の問題は民主主義の土台である選挙制度の根幹に関わる事柄であり、各党各会派で議論すべきことだ」と述べ、それ以上、踏み込んだ発言をしなかった。
 安倍氏は、自民党総裁として、自民党で本件について積極的に議論を進め、蓮舫法案の成立を図るべきである。また首相として、法務大臣に、国籍法の規定の厳格な運用を指示すべきである。国籍法14条に22歳までの国籍選択義務を定め、15条に法務大臣はその期限内に日本の国籍の選択をしないものに対して、書面により、国籍の選択をすべきことを催告することができると定めている。この実施状況を国会に報告させ、実施を徹底すること。蓮舫氏の場合は、対応の経緯を国会で報告すること。また16条に、選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならないと定めている。これは努力義務だが、原則として被選挙権を行使することを希望する者には、外国籍の離脱を徹底すること。これらを実行すべきである。

●現行法はあまりにも不備が大きい

 現行法には、衆議院議員・参議院議員について、重国籍を禁じる規定はない。日本国籍を有することだけが求められ、外国籍を有しないことは求められていない。公職選挙法に定めるそれ以外の公職、すなわち地方公共団体の議会の議員及び長の職も同様である。
 内閣総理大臣、国務大臣については、国家公務員法に定めている。首相補佐官、副大臣、政務官等も同様である。国家公務員のうち、外務公務員のみ、外務公務員法7条で「国籍を有しない者又は外国の国籍を有する者は、外務公務員となることができない」と定めている。外務公務員とは、大使、公使、外務職員等を言う。逆に言うと、外務公務員以外の国家公務員については、重国籍を禁じていないということである。
 国家公務員法は、国民を対象とし、国籍の文言を用いていない。日本国民の要件は、日本国籍を有する者であるから、重国籍者も日本国籍を有していれば、国民である。それゆえ、重国籍者が国会議員になることも、大臣になることも、首相になることもできてしまう。
 まったくおかしな状態である。独立主権国家の体をなしていない。外務公務員は重国籍を禁じていて、その上司となる外務大臣や総理大臣は重国籍でもよいというのは、明らかに法律の不備である。
 日本国憲法は、73条に内閣の事務について、「法律を誠実に執行し、国務を総理すること」「外交関係を処理すること」「条約を締結すること」等を定めている。 まず閣僚は、国籍法の規定を誠実に執行する責任がある。重国籍者であれば、国籍選択の義務及び外国籍の離脱の努力義務を履行すべきである。次に、内閣は合議制であり、外交関係・条約に関する事務も閣僚の合議で決定する。それゆえ、閣僚に重国籍者はあってはならず、また外務公務員の上位にあって、外務を決定する役職として、重国籍を禁じなければならない。
 我が国の被選挙権は、日本国籍を持つ者で選挙当日の年齢が衆議院議員・地方議会議員・市区町村長に立候補するには満25歳以上、参議院議員と都道府県知事に立候補する場合は満30歳以上であることが必要と定められている。重国籍者の場合、22歳までに国籍を選択する義務があるが、20歳以降の2年間にそれができていない者でも、被選挙権が付与される25歳までには、3年間もの時間がある。合計5年間である。参議院議員と都道府県知事であれば、さらに5年間、計10年もの時間がある。日本国民として、この義務を履行していない者は、国会議員・地方自治体の議員や長になれないことにする必要がある。ブラジルのように国籍離脱を許さない国については、特例として一定の条件を課せばよいだろう。

●大臣・自衛隊員・防衛省職員・SP等についても検討が必要

 9月6日自民党の有村治子氏が参院予算委で、安倍首相や閣僚に鋭い質問をした。
 安倍首相は、法的には複数の国籍を持つ重国籍者が首相や外相、防衛相など外交・安全保障に深く関わる役職に就くことができる点について「問題点は整理しなければならない。しっかりと研究したい」「閣僚、首相補佐官は、戸籍などの書類で証明してもらうことも必要かもしれない」と答えた。
 有村氏は、続いて岸田外相・稲田防衛相・松本国家公安委員長らへの質問において、重要なことを多く指摘した。

・二重国籍で外相になれるのか。
・大臣、副大臣、政務官が二重国籍であっていいのか。必ずしも国会議員の身分には直結しない。民間人が外相・防衛相になっている事例がある。
・自衛隊、防衛省職員の二重国籍を禁じる法律がない。自衛隊、防衛省職員が日本以外の国籍を持てる状態でいいのか。
・外交官に二重国籍を禁じる一方で、自衛官には日本以外の国籍を持つことを禁止していない。規則の違いはなにか。
・警視庁のSP、警察官の二重国籍を禁じる法律がない。天皇皇后両陛下や、皇族方、総理大臣などを護衛する者が二重国籍であってもよいのか。
・社会の転覆をはかろうとする破壊組織、国際テロ組織、国際犯罪組織に向き合う公安警察官が、日本以外の国籍を持てる状態でいいのか。

 これらの質問で我が国がいかに脆弱・無防備な状態にあるか、より一層明瞭に浮かび上がった。政府・自民党は、真剣に検討を進めるべきである。改善のためには、国籍法、国家公務員法、地方公務員法、公職選挙法等の改正が必要となる。

●戦前の日本はまともだった、占領期間に異常な国に変わった

 戦前のわが国では、大日本帝国憲法に、第十八條「日本臣民タル要件ハ法律ノ定ムル所ニ依ル」と定めて、その下に国籍法が制定されていた。この構成は、戦後の法体系と同じである。
 國籍法(明治三十二年法律第六十六号)は、帰化人等は国務大臣(総理大臣含む)・帝国議会員等になれないと明確に定めていた。

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第十六條 歸化人、歸化人ノ子ニシテ日本ノ國籍ヲ取得シタル者及ヒ日本人ノ養子又ハ入夫ト爲リタル者ハ左ニ掲ケタル權利ヲ有セス
一 國務大臣ト爲ルコト
二 樞密院ノ議長、副議長又ハ顧問官ト爲ルコト
三 宮内勅任官ト爲ルコト
四 特命全權公使ト爲ルコト
五 陸海軍ノ將官ト爲ルコト
六 大審院長、會計檢査院長又ハ行政裁判所長官ト爲ルコト
七 帝國議會ノ議員ト爲ルコト
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 占領期に帝国憲法とともにこの法律が無効とされ、戦後の国籍法(昭和25年)が制定された時に、旧国籍法16条に当たる規定がなくなったと理解される。これだけ重要な規定がなくなったのは、GHQの圧力があったと推察される。今の国会議員より優秀な当時の立法者が不注意で定め忘れたとは、考えられない。

 なお、旧国籍法は、第十六條に続いて、

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
第十七條 前條ニ定メタル制限ハ第十一條ノ規定ニ依リテ歸化ヲ許可シタル者ニ付テハ國籍取得ノ時ヨリ五年ノ後其他ノ者ニ付テハ十年ノ後内務大臣勅裁ヲ經テ之ヲ解除スルコトヲ得
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

と制限解除の要件も定めていた。第十一條は、次の条文である。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
第十一條 日本ニ特別ノ功勞アル外國人ハ第七條第二項ノ規定ニ拘ハラス内務大臣勅裁ヲ經テ其歸化ヲ許可スルコトヲ得
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 戦前の日本は、確かに独立主権国家だった。まっとうな国だった。戦後の日本は、占領下に主権を制限され、二重国籍者が首相や大臣、国会議員等になれてしまう異常な国家となった。そのまま今回の蓮舫二重国籍事件の発生まで来てしまったのである。日本再建のためには、旧国籍法を参考にして法改正をするのがよいと思う。先人の知恵に学ぶべきである。

●結びに

 国籍は、日本人とは何か、日本国民とは何か、政府と国民の関係とはどういうものか、という日本の根幹にかかわる事柄である。
 そもそも我が国は国籍に関する制度が緩すぎる。まず日本国籍を取得する要件を厳格化することが急務である。現行の要件では、日本国への忠誠心、日本の歴史・伝統・国柄への理解、日本の国語・文化の習得等を欠いていても、簡単な申請で日本国民になれてしまう。日本国籍を安易に外国人に与えてはならない。
 また帰化した国民が選挙権・被選挙権を持てるようになるまでに、一定の期間を設ける必要がある。
 国会議員・地方自治体の議員や長について、重国籍の禁止は当然である。立候補者の3代前までの出自(国籍等)の履歴公開も必要である。
 民間人の大臣、自衛隊員、防衛省職員、警視庁のSP、警察官、公安警察官等についても、重国籍を禁止すべきである。
 国家公務員法、公職選挙法、地方公務員法等の改正を早期に行う必要がある。
 国籍に関する意識と制度の改革は、日本の再建に不可欠の課題である。蓮舫二重国籍事件をきっかけに、この改革を早急に実現しよう。
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