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2016年07月08日09:31

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参院選後、国会で憲法改正原案のとりまとめを

 7月10日の参議院選挙は、いよいよ2日後に迫った。終盤の予想として、産経新聞は7月5日号で「自民、公明両党におおさか維新の会などを加えた『改憲勢力』は、憲法改正の条件となる3分の2に達するために必要な78議席を確保する勢いとなっている」と報じた。
 同日読売新聞は「憲法改正を容認する自民、公明、おおさか維新、こころの4党を合わせると、改正の国会発議に必要な参院の3分の2(162)をうかがう情勢となっている」と書いた。
 読売系の英字新聞 The Japan News は、この「うかがう情勢」という件を "are likely to secure the two-thirds majority"と訳している。読売の本紙より産経の記事のニュアンスに近い。
 こうした予想は予想に過ぎない。選挙は結果が全てである。日本が良い方向に進むよう祈りつつ、自分の意思を投票用紙に託そう。

 今回の選挙は、わが国が憲法改正に向けて前進するか否かが、決まる重大な選挙となる。憲法学者の大多数は護憲派だといわれるが、本当に深く現行憲法の成立過程、欠陥、諸外国における憲法改正等を研究している学者は、現行憲法の改正が必要と主張している。そうした学者の一人が、駒澤大学名誉教授の西修氏である。
 西氏は、7月1日付の産経新聞に「参院選で改憲への動きに弾みを」と題した記事を書いた。
 西氏は、今回の参議院選挙の大きな争点の一つが憲法改正問題であるといわれている割には「憲法改正論議が深まっているようには感じられない」と述べ、「その最大の要因は、各党が論戦を通じて、具体論をまったく語っていないからである」と指摘している。
 自民党総裁である安倍晋三首相は、秋の臨時国会から衆参での憲法審査会を再始動させ、改正項目の議論に入りたいとの考えを示しているが、具体的にどの項目をどう改めたいのかは語っていない。西氏は「安倍首相は、改憲論議をリードしようというのであれば、憲法の異常な成立経緯、安全保障関係の激変など憲法規定と現実との乖離現象、世界の憲法の現代的動向などを国民に説明し、来る憲法審査会の審議に向けて、国民意識の覚醒を促していく必要があろう」と述べている。同感である。そうした動きが積極的に進められるためには、参院選で改憲勢力が3分の2以上を獲得する必要がある。
 だが、憲法改正を阻止すべく民進党を中心として野党が糾合している。その背後には、共産党がいる。共産党は自衛隊を巡って、ひどく矛盾したことを言っている。この点について、西氏は、次のように指摘している。「志位委員長は『自衛隊は明白に憲法違反の存在であるが、急迫不正の主権侵害などの場合には自衛隊を活用していく。将来的には解消する』と述べた。このことは、憲法違反の自衛隊を、将来いつになるかわからない時点にいたるまで、そのまま残すということを意味する。これこそ、まさに同党が力説する立憲主義に反するといわなければならない。自衛隊が憲法違反の存在であるというのであれば、ただちに解消に向けた行動をとるべきであるし、また活用のため残存させるというのであれば、憲法改正を唱えるのが筋というべきである」と。全くその通りである。だが、共産党は論理の矛盾を意に介せず、憲法改正阻止のためには支離滅裂なことでも平気で言う。だから、国民は彼らの魂胆に騙されてはいけない。
 西氏は、「私は、憲法改正問題の解決をここまで引き延ばしてきた最大の原因は、衆参両院に設けられている憲法審査会が本来の機能を果たしていない点にあると考える」と言う。憲法改正調査会が平成19年8月に設置されて以降、9年近くもほとんど動きがないのは、これまでの政治家の怠慢である。だが、中国や北朝鮮の軍拡、米国の対日世論の変化等、改憲はまった無しの状況になっている。西氏は「次の臨時国会では、両院の議席比率にかかわらず、本来の目的である憲法改正原案の取りまとめに動くことを強く期待したい」と述べている。そうした動きが起こすには、選挙で改憲派が3分の2以上の議席を得る必要がある。改憲派が低調に終われば、また憲法審査会は有名無実の組織であり続けるだろう。それでは、だめなのである。
 以下は、西氏の記事の全文。

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●産経新聞 平成28年7月1日

http://www.sankei.com/column/news/160701/clm1607010006-n1.html
2016.7.1 07:15更新
【正論】
深まらぬ改憲論議 参院選で弾みを 駒沢大学名誉教授・西修

≪具体論が語られていない≫
 今回の参議院選挙の大きな争点は、アベノミクスの成果と憲法改正問題であるといわれている。しかし、その割には憲法改正論議が深まっているようには感じられない。その最大の要因は、各党が論戦を通じて、具体論をまったく語っていないからである。
 自民党総裁である安倍晋三首相は、秋の臨時国会から衆参での憲法審査会を再始動させ、改正項目の議論に入りたいとの考えを示しているが、どの項目をどう改めたいのか提示していない。公明党の山口那津男代表は、憲法問題が選挙の争点にならないと決め込み、ほとんど触れていない。おおさか維新の会の松井一郎代表は、大学教育までの無償化を明記するなどの憲法改正を、日本のこころを大切にする党の中山恭子代表は、自主憲法の制定を目指すとしているが、いまひとつ浸透していない。
 一方、民進党の岡田克也代表は、もっぱら安倍政権の下における憲法改正、とくに第9条の改正反対を唱えているだけであって、この憲法をどう見ているのかという自らの憲法像を訴えかけようとしない。そして共産党の志位和夫委員長は、立憲主義を取り戻し、憲法の全条項を守ることを強調するが、天皇の存在や資本主義を前提としている憲法と、党の綱領たる「共産主義・社会主義をめざす」ことの関係については、口を閉ざしたままである。
参議院選挙の結果、改憲勢力が憲法改正に必要な3分の2の議席を超えるのかどうかが、非常に注目される。

≪9条の墨守だけでよいのか≫
 安倍首相は、改憲論議をリードしようというのであれば、憲法の異常な成立経緯、安全保障関係の激変など憲法規定と現実との乖離(かいり)現象、世界の憲法の現代的動向などを国民に説明し、来る憲法審査会の審議に向けて、国民意識の覚醒を促していく必要があろう。
 これまで開かれた各党の党首討論において、きわめて明白になったことは、共産党の矛盾である。志位委員長は「自衛隊は明白に憲法違反の存在であるが、急迫不正の主権侵害などの場合には自衛隊を活用していく。将来的には解消する」と述べた。
 このことは、憲法違反の自衛隊を、将来いつになるかわからない時点にいたるまで、そのまま残すということを意味する。これこそ、まさに同党が力説する立憲主義に反するといわなければならない。自衛隊が憲法違反の存在であるというのであれば、ただちに解消に向けた行動をとるべきであるし、また活用のため残存させるというのであれば、憲法改正を唱えるのが筋というべきである。
民進党は、自衛隊を憲法違反とし、自衛隊の解消と日米安保条約の破棄を明確に打ち出している共産党と共闘を組むことに、何らの矛盾も感じていないのだろうか。民進党と共産党の一致点は、前国会で成立した安全保障法制を「戦争法」と位置づけ、その廃止を求めていることだ。
 両党は、北朝鮮が国際社会の警告を無視して核開発を進め、公示日の6月22日にはわが国をすっぽり収め、米領グアムにまで到達する「ムスダン」とみられるミサイルを発射させたことに危機感をもたないのだろうか。中国軍艦などによる尖閣諸島周辺の接続水域内での航行や、日本領海侵入に不安感を抱かないのであろうか。
 憲法第9条を墨守しているだけでよいのか。とくに野党第一党の民進党には、国の平和と安全を守り、国民に安心感を与えるための安全保障政策を具体的に示すことが求められる。

≪憲法審査会の怠慢は否めない≫
 「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」(武力行使の新3要件)に限って、集団的自衛権を行使することが、どうして「戦争法」になるのだろうか。
むしろ、日米同盟関係の絆を強めることによって、わが国の安全をより強固にすることができる。その意味で、「戦争抑止法」と位置づけるのが正当であろう。
 私は、憲法改正問題の解決をここまで引き延ばしてきた最大の原因は、衆参両院に設けられている憲法審査会が本来の機能を果たしていない点にあると考える。憲法改正の争点は、すでに5年の歳月をかけてまとめられた各院の憲法調査会の『報告書』(各院ともに平成17年4月作成)に整理されている。衆議院憲法調査会の『報告書』は683ページ、参議院憲法調査会の『報告書』は298ページに及ぶ膨大なものだ。
 各院で平成19年8月に憲法審査会が設置されたのは、これらの『報告書』をもとに憲法改正原案を作成することを目的とするものだったはずだ。それからすでに約9年を経ようとしている。同審査会の怠慢は否めない。
 次の臨時国会では、両院の議席比率にかかわらず、本来の目的である憲法改正原案の取りまとめに動くことを強く期待したい。(駒沢大学名誉教授・西修 にし おさむ)
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 現行憲法及び新憲法に関する私見は、下記の拙稿をご参照ください。

関連掲示
・拙稿「日本国憲法は亡国憲法――改正せねば国が滅ぶ」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion08c.htm
・拙稿「新憲法へ――改正の時は今」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion08g.htm
・拙稿「日本再建のための新憲法――ほそかわ私案」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion08h.htm
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