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2014年12月26日08:53

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憲法改正へ積極的に議論すべき時〜百地章氏

 私は、アベノミクスの完遂の次は憲法改正へ、と訴えている。衆院選の結果、与党で3分の2以上の議席を確保した安倍首相は、歴史的使命を自覚し、憲法改正の道を切り開いていくことだろう。
 日本大学教授の百地章氏は、憲法改正の早期実現を求める有識者の一人である。百地氏は、産経新聞12月18日の記事で、憲法改正に向けて国会で積極的な議論を行うことを求める記事を書いている。
 安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を主張しているが、百地氏は、憲法改正こそ、脱却すべき「戦後レジーム」の「本丸」だという。安倍首相は、第1次安倍内閣で、憲法制定後60年も放置されてきた憲法改正国民投票法を成立させた。第2次安倍内閣では、4年後に投票年齢を18歳以上に引き下げる国民投票法の改正を行った。「となれば」として、百地氏は言う。「次の第3次安倍内閣において、本丸の憲法改正実現を目指すであろうことは疑いない」と。
 百地氏は、衆院選の結果を受け、ここで必要なのは「憲法改正に向けた周到な戦略と今後のスケジュール」だと主張する。まず必要なのは、「国民の高い支持率」である。それなくして、憲法改正の実現に伴う困難を克服していくことはできない。「それゆえ、当面はアベノミクスを成功させることによって日本経済を活性化させ、国民を元気づけることが緊要である」と百地氏は認める。次に必要なのは、「より積極的に憲法改正の必要性を国民に訴えていく」ことであるとして、首相からのさらなる発信を期待する。また「この点、自公連立合意で『憲法改正に向け国民的議論を深める』ことが謳(うた)われたのは画期的だ」と評価する。
 現行憲法は、全般的に改正が求められる。だが、衆参両院で3分の2の改憲勢力を結集するためには、改憲のテーマを絞ることが必要だ、と百地氏は言う。絞り込みの仕方については、「第1に国家的に重要な課題であること、第2に国家、国民にとって緊急の必要性があること、第3が国民にとって分かりやすく、多数の支持が得られそうなものであること」を挙げる。そして、「真っ先に考えられるのがいつ発生するか分からない首都直下型地震などの非常時に備えて、憲法に緊急事態条項を定めることであろう」と説く。
 11月6日に開催された衆院憲法審査会では、共産党を除く与野党7党が大規模災害や感染症拡大などの緊急事態に対処するための規定を憲法に盛り込む必要性に言及しており、改憲の優先テーマに浮上する可能性が強まった。これには「加憲」の立場を取る公明党も賛成している。百地氏は「来年の通常国会では具体的な憲法改正原案作りに向けて、積極的な議論が交わされることを期待したい」と述べている。
 私見を述べると、今回の衆院選で選挙された国会議員は、戦後日本が67年以上放置してきた憲法の改正を具体的に論じ、条文の改正を進めるという重要な役割を担うべき立場にある。政治家としてこの時に国会議員を務めることは、実にやりがいのあることだろう。日本の再建と、日本の将来の開拓のために、積極的に改正論議を行ってもらいたいものである。
 一方、国民の側にも重要な役割がある。現行憲法は、国民主権を謳い、憲法の改正は国民投票の過半数で決すると定めている。国家の根本を定める憲法について、最終的な判断をするのは、一人ひとりの国民である。この点、先の衆院選は、投票率が戦後最低となり、国民の主権者意識、政治的自覚の低下が目立った。国民一人ひとりが日本の現在と将来を考え、自ら主体的に日本を変える活動に参加することが求められている。
 百地氏は、「既に大阪府議会を含む24の府県議会で憲法改正促進の議会決議がなされ、『美しい日本の憲法をつくる国民の会』(共同代表・櫻井よしこ氏、田久保忠衛氏、三好達氏)が1千万人署名運動を始めたことを挙げ、「2年後の憲法改正実現に向け、民間レベルでも力強い歩みが始まっていることは間違いなかろう」と書いている。「2年後」とは、28年7月の参議院選挙の時に憲法改正の国民投票を行うことを意味するものだろう。正確には、1年7か月後とすべきところである。その時点が最速となる。拙速は慎まねばならないが、国会における議論と国民における圭亜発運動が相俟って、できるだけ早期に日本人自身の手になる新しい憲法を制定し、日本の根本的な再建を成し遂げたいものである。
 以下は、百地氏の記事の全文。後半に緊急事態条項に関する記事を付す。

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●産経新聞 平成26年12月18日

http://www.sankei.com/column/news/141218/clm1412180001-n1.html
2014.12.18 05:02更新
【正論】
憲法改正へ積極的議論の時だ 日本大学教授・百地章

≪精神的レジームから脱却へ≫
 先の総選挙は自民党が圧勝して終わった。昨年末に安倍晋三首相が靖国神社を参拝してから間もなく1年になるが、安倍政権が国民の信任と圧倒的支持を得たことの意味は極めて大きいと思われる。
 安倍首相は、かねて「戦後レジームからの脱却」を主張してきた。「戦後レジーム」とは、制度的には憲法を中心とする戦後体制そのものであり、精神的には東京裁判に起因する「自虐史観」や精神的自立性の喪失ということになろう。
 首相の靖国神社参拝は、「精神的戦後レジーム」から脱却するための力強い第一歩となった。当初、中韓両国から激しい批判があり、米国まで「失望」を表明したため、日本が孤立化するのではと危惧する向きもあった。しかし首相の地球儀を俯瞰(ふかん)する精力的な外交によって誤解は解消され、逆に今では日本を非難し続ける中国や韓国の方が国際社会から厳しい目を向けられているではないか。
 先の大戦が終結してから、来年は70年という節目の年に当たる。中国は再び虚構の「南京事件」を持ち出して日本批判を始めたが、これに対抗するためにも、積極的に反論していく必要があろう。
 そして、精神的戦後レジームからの完全な脱却を図るためにも「強い日本」を作り上げることが不可欠である。懸案の日中首脳会談が終わった今、安倍首相には新内閣成立後、ぜひもう一度、靖国神社参拝を行っていただきたい。

≪第3次安倍内閣に期待≫
 「戦後レジーム」の本丸はもちろん憲法改正である。選挙後の記者会見において安倍首相は「憲法改正は自民党の悲願であり、立党以来の目標である」と明言したが、心強い限りである。
 首相は憲法改正が「私の歴史的使命」と公言しており、憲法制定後60年も放置されてきた憲法改正国民投票法を成立させたのは、第1次安倍内閣であった。そして先の第2次安倍内閣では、4年後に投票年齢を18歳以上に引き下げる国民投票法の改正を行っている。
 となれば、次の第3次安倍内閣において、本丸の憲法改正実現を目指すであろうことは疑いない。総選挙での圧勝により、首相の党内基盤は強化され、来年の総裁選挙で再選されることは間違いなかろうし、憲法改正に必要な時間も与えられた。残るは、憲法改正に向けた周到な戦略と今後のスケジュールであろう。
 憲法改正の実現のためには、さまざまな困難が待ち受けており、これを克服していくためには国民の高い支持率は不可欠である。それゆえ、当面はアベノミクスを成功させることによって日本経済を活性化させ、国民を元気づけることが緊要である。
 しかし、自民公明の両党で改憲の発議に必要な3分の2の改憲勢力が維持できた以上、より積極的に憲法改正の必要性を国民に訴えていく必要があろう。首相からのさらなる発信を期待したい。
 この点、自公連立合意で「憲法改正に向け国民的議論を深める」ことが謳(うた)われたのは画期的だ。

≪緊急事態条項なら発議可能か≫
 改憲のテーマとしては、占領下においてGHQ(連合国軍総司令部)から強いられた憲法制定の事情から、前文、天皇、第9条2項といった具合に、憲法全体について国民に幅広く改正の必要性を訴えていく必要がある。他方、衆参両院で3分の2の改憲勢力を結集するためには、改憲のテーマもおのずから絞られてこよう。
 その絞り込み方については以前、指摘したとおり、第1に国家的に重要な課題であること、第2に国家、国民にとって緊急の必要性があること、第3が国民にとって分かりやすく、多数の支持が得られそうなものであることだ。
 このように考えれば、真っ先に考えられるのがいつ発生するか分からない首都直下型地震などの非常時に備えて、憲法に緊急事態条項を定めることであろう。
 緊急事態条項の意義については本欄(9月25日付)で述べたとおりだが、11月6日に開催された衆院憲法審査会では、共産党を除く与野党7党が大規模災害や感染症拡大などの緊急事態に対処するための規定を憲法に盛り込む必要性に言及しており、改憲の優先テーマに浮上する可能性が強まったという(本紙11月7日付)。
 これには「加憲」の立場を取る公明党も賛成しており、来年の通常国会では具体的な憲法改正原案作りに向けて、積極的な議論が交わされることを期待したい。
 他方、国民投票で過半数を得るためには国民の理解と支持が不可欠だが、憲法改正問題に対する一般の関心はそれほど高いとはいえない。そこで必要なのが国民投票に向けた啓発運動だが、既に大阪府議会を含む24の府県議会で憲法改正促進の議会決議がなされ、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」(共同代表・櫻井よしこ氏、田久保忠衛氏、三好達氏)が1千万人署名運動を始めた。
 2年後の憲法改正実現に向け、民間レベルでも力強い歩みが始まっていることは間違いなかろう。(ももち あきら)

●産経新聞 平成26年9月25日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140925/plc14092505030005-n1.htm
【正論】
憲法の「緊急権」こそ緊急課題だ 日本大学教授・百地章
2014.9.25 05:03

 2年後に好機を迎える憲法改正実現に向けて真っ先に挙げられるテーマの一つが、緊急事態条項である。首都直下型大地震の危機が叫ばれる中、当然といえよう。

≪国家存立と立憲主義かかる≫
 「憲法は平常時においてだけでなく、緊急時および危機的状況にあっても真価を発揮しなければならない。憲法が危機を克服するための配慮をしていないときは、責任ある国家機関は、決定的瞬間において憲法を無視する挙に出るほかにすべはないのである」。これは良く知られたドイツの代表的憲法学者K・ヘッセの言葉である。それ故、超法規という名の無法状態に陥ることを避け緊急事態においても「立憲主義」を維持するため、この条項は不可欠である。
 緊急権は戦争、内乱、大規模災害などの国家的な危機に際し、危機を克服し国家の存立と憲法秩序を維持するために行使される例外的な権限である。もちろん、ここでいう「国家」とは単なる政府や権力機構のことではなく、国民共同体のことである。時の権力のためではなく、「国民共同体としての国家」や憲法秩序が危殆(きたい)に瀕(ひん)しているときに、国民を守るために発動されるのが緊急権である。
 ところが、わが国では「国民共同体としての国家」に対する認識が乏しく、国家を権力としか考えない憲法学者が多い。そのため、緊急権乱用の危険のみが強調されてしまうわけだが、国家の存立なくしてどうして国民の生命や人権が保障されるであろうか。
 諸外国では憲法に緊急権を明記しているのが普通である。

≪法律だけでは対応できない≫
 この点、大災害については、わが国には災害対策基本法、大規模地震対策特別措置法、原子力災害対策特別措置法、さらに首都直下地震対策特別措置法や南海トラフ地震対策特別措置法といった法律が存在する。しかし、法律だけでは対応できないことは、先の東日本大震災で経験した通りである。
 災害対策基本法では「非常災害が発生し、かつ、当該災害が国の経済及び公共の福祉に重大な影響を及ぼすべき異常かつ激甚なものである場合」には、「災害緊急事態」を布告できる旨、定めている(105条)。そして、この「災害緊急事態」が布告されれば、政府は「緊急の政令」を制定し、生活必需物資の統制、物品や役務の価格統制、債務の支払い延期などの緊急措置が実施できることになっている(109条1項)。
 にもかかわらず、菅直人政権は「災害緊急事態の布告」を行わず「緊急政令」も制定しなかった。「緊急政令」は国会が「閉会中」などの場合に限られており、当時は国会が開会中であったことが理由とされたが、「生活必需物資を統制する必要はなかった」という言い訳は通じまい。
 実際には震災直後に、現地ではガソリンが不足したため、被災者や生活必需物資が輸送できなかったりして、助かる命も助からなかった。したがって「物資の統制」は必要であった。それなのに「物資の統制」を行わなかった理由について、国会で答弁に立った内閣府の参事官はこう答えている。「国民の権利義務を大きく規制する非常に強い措置であり、適切な判断が必要であった」と。
つまり、憲法で保障された国民の権利や自由を安易に制限するわけにはいかない、ということであろう。事実、被災地ではガレキの処分をめぐって、財産権の侵害に当たり所有権者の了解が必要だなどという議論もあったという。
 今年2月、山梨県などを襲った大雪の中で、路上に放置された車を自由に撤去することができなかったのも、「財産権の不可侵」(憲法29条1項)との兼ね合いが問題となったからだ。もちろん、財産権といえども「公共の福祉」によって制限することは可能だが(同条2項)、現実にはこの「財産権の不可侵」がネックとなり、土地収用法で定められた強制的な公共事業用地の取得でさえ、実際には「土地所有者等がどうしても用地買収に応じてくれないという極限の場合」しか用いられないという(小高剛『くらしの相談室 用地買収と補償』)。
 こうした大災害時において速やかに国家的な危機を克服し国民生活を守るためにも、憲法に緊急権を定めておく必要がある。

≪「命令」制度の採用を急げ≫
 もう一つは、国会が機能しない時のためである。例えば、首都直下型大地震によって国会が集会できない場合には、新たに法律を制定することもできない。そこで、このような場合には、内閣が法律に代わる「命令」を発することを認め、後で国会の承認を求めようというのが、「緊急命令」制度である。
 これはイタリアやスペインの憲法にも規定され、自民党の憲法改正案や産経新聞の「国民の憲法」要綱でも採用されている。
 先の衆院憲法審査会では、自民、民主、日本維新の会、みんな、生活の各党は緊急事態条項の新設に前向きであった。国会により一日も早く憲法改正の発議が行われることを期待したい。(ももち あきら)
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