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2014年12月03日08:48

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衆院選:日本の運命を決める選挙になる

 12月2日、衆議院総選挙が公示された。当日朝の全国紙数紙の社説を比較検討してみよう。経済紙ながら、日本経済新聞を含む。

 選挙の争点について、日本経済新聞は、「今回の選挙の焦点は、安倍晋三首相の過去2年間の政権運営、とりわけアベノミクスをどう評価するかにある」と書いた。
読売新聞は、「日本は今、様々な難しい政策課題に直面している。少子高齢化と人口減少が進む中、次世代にツケを先送りせず、デフレ脱却をいかに実現するか。経済、軍事両面で膨張する中国にどう向き合い、日本の平和と繁栄を維持するか。各政党や候補者は、これらに現実的な処方箋を示してほしい」と書いた。
 産経新聞は、「デフレ脱却など経済政策がすでに論争の中心となっているが、改めて問われるべきことがある。安倍晋三首相が第2次内閣発足時に掲げた日本の立て直し、国難ともいえる内外の危機の克服をどう図るかである。立て直しの重要な柱である経済再生に加え、必要な外交・安全保障政策をどうするか。国家戦略を各党が提示し、論じ合うことが重要だ」と書いた。
 毎日新聞は、「衆院議員の任期を半分残しての急な解散に伴う年の瀬の選挙だ。だが実際には外交、内政が岐路に立つ中で今後4年の国の針路を規定していく可能性がある重い審判となる。戦後70年の節目を控え、問われるものはアベノミクスの是非だけではない。政党や候補者の主張をじっくり吟味し、14日の投票日には必ず選択の意思を示そう。それが主役たる有権者の権利であり責務でもある」と書いた。

 次に、わが国の真の課題である憲法改正について、産経新聞は、「国のありようにかかわる憲法改正について、次世代の平沼赳夫党首が今後の進め方を聞くと、首相は『国民の改正しようという機運は盛り上がっていない』と答えた。自ら優先的に改正すべき内容を提起し、議論を活性化することが必要である」と書いた。
 読売新聞は、「与党への『是々非々』を唱える次世代の党の平沼党首は、「自主憲法の制定」に積極的に取り組むよう安倍首相に促した。こうした建設的な役割を野党が担うことは評価できる」と書いた。
 日本経済新聞は、「憲法改正に関しては長年、改憲を提唱してきた安倍首相が『国民の中で憲法改正しようという機運が盛り上がっていない状況』との認識を示し、踏み込んだ主張をしなかった。自民党の選挙公約も憲法改正にほとんど触れていない。自民党は憲法改正草案を作成してあるとはいえ、これでは改憲の是非について有権者に信を問うたことにはならないのではないか。憲法改正を向こう4年間、政治日程に載せる気がないのか、国論を二分する課題に触れずに選挙に勝とうとしているのか。のちのちもめごとにならないようにきちんと説明してもらいたい」と書いた。

 次に、今回の選挙の動向について、読売新聞は、「今回の衆院選は、どの党にも追い風が吹いていない。自民党が突出した『1強多弱』体制が続くか、民主党が伸長してその構図を変化させるのか、も注目される」と書いた。
 毎日新聞は、「『自民党1強』状態の下、野党第1党の民主党は政権奪還に必要な候補数を擁立できない見通しだ。自民、民主両党による政権選択がテーマだった2009年、12年の衆院選と構図は大きく異なり、自民党の議席数の増減で安倍内閣への信任の度合いが事実上測られることになろう」と書いた。
 日本経済新聞は、「今回の選挙では、小選挙区制が導入されて以降、続いてきた二大政党の対決構図が崩れた。選挙の争点は『自民か、民主か』ではなく、安倍政権をどの程度評価するのかにならざるを得ない。安倍首相は討論で、選挙の勝敗ラインについて『自公で過半数』との見解を繰り返した。自公が現有議席を割れば政権が否定されたことになるというのは極論だが、過半数ぎりぎり維持でも政権信任といってよいのか。自公の党内世論の動向をよく見極めたい」と書いた。

 最後に、各党への要望として、読売新聞は、「今回は、各党の公約から政策の数値目標がほとんど姿を消し、いわゆる『マニフェスト(政権公約)選挙』が後退した。(略)無論、財源の裏付けがない、ばらまき政策で大衆迎合を図るのは無責任だ。いずれ、メッキがはげ、民主党のように厳しい審判を受けよう。だが、各党は、幅広い政策課題の具体的な解決策と道筋を示す努力を怠ってはなるまい」と書いた。
 産経新聞は、「15年に及ぶデフレを脱し、経済を成長軌道に戻す作業は容易ではない。民主党を含む歴代政権も、有効な手立てを示せなかった。政策継続を訴える与党に必要なのは、アベノミクスの変調を懸念する国民の不安を取り除く具体策である」「野党のアベノミクス批判に具体的な代替案が乏しいことが、論争を抽象的なものにしている」「野党であっても、財政状況に目を配り、民間企業が主導する力強い経済再生策を示すべきだ」と書いた。
 毎日新聞は、「効果にかげりがみえるアベノミクスも『富める者が富めば、富が滴り落ちる』という、いわゆるトリクルダウン理論の有効性が成長戦略の中身とともに論じられるべきだ。民主党など野党の多くは格差是正や分配重視へ軌道修正を求めるが、具体的にどんな方策で『成長』と両立させ、財源措置を講じるのか。対立軸を明確にするためにも、各党は踏み込み不足だった公約の内容を議論で補う努力がいる」と書いた。

 選挙戦がスタートした。有権者は、日本の運命を決める重要な選挙であることを自覚して、確かな選択をしよう。

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●読売新聞 平成26年12月2日

きょう公示 誤りなき日本の未来定めたい
2014年12月02日 01時27分

◆追い風なく「政党力」が試される◆
 第2次安倍内閣の2年間の実績を評価・点検するとともに、確かな日本の針路を定める重要な選挙である。
 第47回衆院選がきょう公示される。
 日本は今、様々な難しい政策課題に直面している。少子高齢化と人口減少が進む中、次世代にツケを先送りせず、デフレ脱却をいかに実現するか。経済、軍事両面で膨張する中国にどう向き合い、日本の平和と繁栄を維持するか。
 各政党や候補者は、これらに現実的な処方箋を示してほしい。

◆「1強多弱」が続くか
 295小選挙区と11ブロックの比例選に出馬する候補者は、12党が乱立した2012年の前回と比べて大幅に減る見通しだ。
 前回、躍進した「第3極」の政党の離合集散により、全体が9党に整理されたうえ、突然の解散で野党の選挙準備が整っていないことが要因である。
 自民、公明両党は、与党で「絶対安定多数」の266議席の獲得が目標だ。解散時勢力の326をどこまで守れるかが「安倍政治」の信任に直結しよう。
 民主党は、衆院定数475の過半数を下回る候補擁立にとどまる見通しだ。「政権交代」は次の衆院選の目標に先送りし、今回は、3ケタの議席の獲得を目指す。
 今回の衆院選は、どの党にも追い風が吹いていない。自民党が突出した「1強多弱」体制が続くか、民主党が伸長してその構図を変化させるのか、も注目される。
 最大の争点は、安倍首相の経済政策「アベノミクス」継続の是非だ。公示を前に行われた日本記者クラブの8党首討論会でも、経済論戦が中心となった。
 首相は、雇用や賃金の増加など実績を強調した。物価と賃金の関係についても「アベノミクスが続けば、来年以降も賃金が上がり、(物価上昇を)追い越す状況を間違いなく作れる」と語った。
 民主党の海江田代表は、「円安による物価高、格差の拡大」などアベノミクスの弊害を批判した。「人への投資」で消費を拡大し、景気を好転させるとも述べた。
 与野党は、様々な統計を持ち出し、アベノミクスのこれまでの功罪を熱心に論じるが、今後のデフレ脱却の具体策が物足りない。もっと掘り下げた議論が必要だ。
 維新の党の江田共同代表は「身を切る改革」を掲げ、国会議員歳費や公務員給与の削減で5兆円の財源を確保できると力説したが、説得力を持つとは言い難い。

◆情緒排した安保論議を
 集団的自衛権の行使容認については、海江田氏が「日本が攻撃されていないのに、自衛隊が他国と戦争をすることになる。専守防衛と矛盾しないか」とただした。
 首相は「厳しい3要件をつけ、しっかり歯止めがかかっている」と反論した。公明党の山口代表も「他国を防衛する武力の使い方は否定している」と言明した。
 安全保障問題では、情緒的な議論を排することが肝要である。具体的な事例に基づき、現実的な論議を深めなければなるまい。
 与党への「是々非々」を唱える次世代の党の平沼党首は、「自主憲法の制定」に積極的に取り組むよう安倍首相に促した。こうした建設的な役割を野党が担うことは評価できる。
 各党は03年衆院選以降、政策の数値目標や達成期限、財源などを明示した公約を競ってきた。
 だが、今回は、各党の公約から政策の数値目標がほとんど姿を消し、いわゆる「マニフェスト(政権公約)選挙」が後退した。財源不足と失政による09年マニフェストの破綻で、民主党が厳しく批判されたのが原因だ。
 今回は、選挙準備の時間が限られていたことも影響している。

◆「大衆迎合」を見抜こう
 無論、財源の裏付けがない、ばらまき政策で大衆迎合を図るのは無責任だ。いずれ、メッキがはげ、民主党のように厳しい審判を受けよう。だが、各党は、幅広い政策課題の具体的な解決策と道筋を示す努力を怠ってはなるまい。
 近年は、政治家の劣化がしばしば指摘されている。
 過去3回の衆院選は、自民―民主―自民党の順に大勝した。第1党が得票率以上に多くの議席を獲得するのが小選挙区制の特徴とはいえ、資質に疑義がある議員がいるのも否めない。
 どの政党や候補者に日本の将来を託すべきか。政策や能力をしっかりと見極める必要がある。有権者も、その真贋を見抜く力を試されていることを自覚したい。
 2014年12月02日 01時27分 Copyright c The Yomiuri Shimbun

●産経新聞 平成26年12月2日

http://www.sankei.com/column/news/141202/clm1412020002-n1.html
2014.12.2 05:04更新
【主張】
衆院選きょう公示 危機克服を論じる機会に 成長戦略の確立が不可欠だ
 
アベノミクス解散に伴う第47回衆院選がきょう公示される。
 デフレ脱却など経済政策がすでに論争の中心となっているが、改めて問われるべきことがある。
 安倍晋三首相が第2次内閣発足時に掲げた日本の立て直し、国難ともいえる内外の危機の克服をどう図るかである。
 立て直しの重要な柱である経済再生に加え、必要な外交・安全保障政策をどうするか。国家戦略を各党が提示し、論じ合うことが重要だ。
 もっともふさわしい担い手に一票を投じる。それがこの衆院選の意義といえよう。

≪抑止力強化の具体策を≫
 日本記者クラブの党首討論会で、安倍首相は「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」に言及した。周辺の2国間関係だけでなく、世界全体を見渡し、自由や民主主義の価値観の共有を重視する考え方だ。
 首相は連立を組む公明党の山口那津男代表にも目指す外交を聞いた。山口氏は中国や韓国との関係について「対話を継続し、政府間の安定的な関係を保つべきだ」と主張した。
 両者ともさきの日中首脳会談の実現を念頭においている。ただ、力を背景に尖閣諸島の奪取を図る中国の攻勢を、対話のみで阻止することはできない。だからこそ抑止力の強化が求められている。
 自民党は前回の衆院選で集団的自衛権の行使容認を公約し、政権復帰後に実現した。討論会では、ペルシャ湾に機雷が撒(ま)かれた際に、集団的自衛権の行使の一環として、海上自衛隊の掃海艇を派遣できるかどうかが論じられた。
 山口氏は、戦火がわが国に及ぶ蓋然性、国民が被る犠牲が深刻で重大といった自衛権行使の新3要件に適合するかは「なかなか簡単には言いにくい」と語った。
 安倍首相は有事の際、機雷でホルムズ海峡が完全に封鎖されれば油の価格が暴騰し、世界的な経済パニックが起きる危険性があると指摘し、「新3要件にあてはまる可能性はある」と述べた。派遣への余地を残したのは妥当だ。
 国民の平和と安全を守り、日本が国際社会でどのような役割を果たすべきか。与野党間でも議論をたたかわせてほしい。
 国のありようにかかわる憲法改正について、次世代の平沼赳夫党首が今後の進め方を聞くと、首相は「国民の改正しようという機運は盛り上がっていない」と答えた。自ら優先的に改正すべき内容を提起し、議論を活性化することが必要である。
 消費税再増税の延期は、アベノミクスで経済再生と財政再建の両立を果たせるとみていた政権にとっての誤算だろう。
 だが、15年に及ぶデフレを脱し、経済を成長軌道に戻す作業は容易ではない。民主党を含む歴代政権も、有効な手立てを示せなかった。政策継続を訴える与党に必要なのは、アベノミクスの変調を懸念する国民の不安を取り除く具体策である。

≪規制緩和の工程を示せ≫
 成長戦略をいかに肉付けしていくかが問われる中で、維新の党が強く主張する規制緩和をめぐる議論もあった。
 安倍首相は「団体とガチンコでやるという、正面から突破して相手を倒すという小泉さん(純一郎元首相)方式」はとらないと語った。関連業界の反発を考慮したのだろうが、農業や雇用など「岩盤規制」と呼ばれる分野での構造改革を断行できるだろうか。
 首相がアベノミクスへの国民の信任を問うなら、それをテコに既得権益の抵抗を排すようなしたたかさも求められよう。法案化を含め、規制緩和の具体的な手順も各党で論じ合うべきだ。
 野党のアベノミクス批判に具体的な代替案が乏しいことが、論争を抽象的なものにしている。民主党の海江田万里代表は討論で「円安による物価高と格差の拡大」とマイナス面を強調した。
 急激な円安を招いた日銀の異次元緩和を「柔軟な金融政策」に改めるという。緩和の縮小を指すのかなど転換の意味は不明確だ。
 豊かな中間層を復活させるため、「人への投資」で可処分所得を増やすという。聞こえのいい政策が目立つが、ばらまき政策を頓挫させた政権担当時の失敗の反省が不十分ではないか。
 野党であっても、財政状況に目を配り、民間企業が主導する力強い経済再生策を示すべきだ。

●毎日新聞 平成26年12月2日

http://mainichi.jp/opinion/news/20141202k0000m070124000c.html
社説:衆院選きょう公示 国民が主導権を握ろう
毎日新聞 2014年12月02日 02時30分(最終更新 12月02日 08時35分)

 衆院選がきょう公示される。発足からおよそ2年を経た第2次安倍内閣へ評価を下す機会だ。
 衆院議員の任期を半分残しての急な解散に伴う年の瀬の選挙だ。だが実際には外交、内政が岐路に立つ中で今後4年の国の針路を規定していく可能性がある重い審判となる。
 戦後70年の節目を控え、問われるものはアベノミクスの是非だけではない。政党や候補者の主張をじっくり吟味し、14日の投票日には必ず選択の意思を示そう。それが主役たる有権者の権利であり責務でもある。

◇安倍政治全体への審判
 1日の党首討論会で安倍晋三首相(自民党総裁)は「確信の下にこの道を進んでいく」と強調、経済政策の是非を問う意向を改めて示した。消費増税の1年半の延期方針とともに首相があえて仕掛けた選挙だけに安倍政治そのものが問われる。
 「自民党1強」状態の下、野党第1党の民主党は政権奪還に必要な候補数を擁立できない見通しだ。自民、民主両党による政権選択がテーマだった2009年、12年の衆院選と構図は大きく異なり、自民党の議席数の増減で安倍内閣への信任の度合いが事実上測られることになろう。
 それにしてもなぜ、解散なのか、大義にはいまだに疑問がつきまとう。各種世論調査でも首相の判断を「評価しない」とする声が多い。
 かつて小泉純一郎首相が05年に衆院解散を断行し「郵政選挙」で民意を問い圧勝したことが首相の念頭にあるのかもしれない。だが、審判を仰ぐ以上、経済政策に限定せず岐路に立つ政治の針路が総合的に問われなければならない。
 日本はこれから本格的な人口減少に突入する。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると現在約1億2700万人の人口はこのままだと48年に1億人を割り、60年に約3割減の8674万人になる。しかも首都圏などでは間もなく75歳以上の高齢者数が急増し、医療や介護の需要増に直面する。かつてない社会構造変化への対応を迫られているのだ。
 国の借金が1000兆円を超し、国民負担も避けては通れない。経済政策や税制、社会保障の構築などここ数年のかじ取りが私たちはもちろん、将来世代の生活すら左右するといっても言い過ぎであるまい。
 効果にかげりがみえるアベノミクスも「富める者が富めば、富が滴り落ちる」という、いわゆるトリクルダウン理論の有効性が成長戦略の中身とともに論じられるべきだ。民主党など野党の多くは格差是正や分配重視へ軌道修正を求めるが、具体的にどんな方策で「成長」と両立させ、財源措置を講じるのか。対立軸を明確にするためにも、各党は踏み込み不足だった公約の内容を議論で補う努力がいる。

●日本経済新聞 平成26年12月2日

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO80378800S4A201C1EA1000/
国の将来像がわかる堂々の論戦を
2014/12/2付 記事保存

論点はアベノミクスだ
 今回の選挙の焦点は、安倍晋三首相の過去2年間の政権運営、とりわけアベノミクスをどう評価するかにある。公示に先立ち、日本記者クラブが主催した8党首討論会でも時間のかなりの部分が経済政策にあてられた。
 自民党の安倍晋三首相(総裁)はアベノミクスによって企業収益が向上し、賃金が上昇してデフレから脱却する「経済の好循環」が始まっていると説き、「この道しかない」とその継続を訴えた。
 公明党の山口那津男代表はアベノミクスはうまくいっているとしたうえで、社会福祉の充実を求めた。安倍首相は消費再増税の延期に伴い、低年金者への給付金支給も先送りする考えを示したが、山口氏は予定通りの実施を求めた。連立政権を組むからには自公で方向性を出してもらいたい。
 民主党の海江田万里代表は実質賃金が「15カ月連続で下がっている」ことを根拠にアベノミクスは失敗だと断じた。しかし、「他の道もある」と語るわりに、民主党政権ならば、どんな施策を展開するのかはわかりにくかった。
 安倍首相は就労をあきらめていた人々が働きだしたことで低所得者数が増え、結果として平均所得は下がったと反論した。すべての就労者の総所得が増えたことこそ重要だと強調した。
 どちらの指摘を妥当と思うか。わかりやすい、さらなる論戦を期待したい。
 維新の党の江田憲司共同代表もアベノミクスは失敗であり、年5兆円程度に減っていた公共事業が10兆円前後に増えたことを「ばらまき」と断じた。返す刀で民主党のことも「成長戦略がない」と批判した。同じ野党でも、民主党は「アベノミクスは行き過ぎ」、維新は「踏み込み不足」と攻撃した形だ。これでは連携はできまい。
 経済以外の分野で注目されたのが、集団的自衛権や憲法改正を巡る論戦だ。
 集団的自衛権では、ペルシャ湾への掃海艇派遣の是非を巡り、自公の食い違いが目立った。安倍首相はホルムズ海峡が封鎖された場合に「集団的自衛権発動の3要件に当てはまる可能性がある」と明言した。山口氏は「戦闘行為と受け取られる」と述べ、同調しなかった。
 これでは自公政権はどうしようとしているのかが有権者にはわからない。できるだけ早く統一見解を明らかにすべきだ。
 憲法改正に関しては長年、改憲を提唱してきた安倍首相が「国民の中で憲法改正しようという機運が盛り上がっていない状況」との認識を示し、踏み込んだ主張をしなかった。

勝敗ラインはどこか
 自民党の選挙公約も憲法改正にほとんど触れていない。自民党は憲法改正草案を作成してあるとはいえ、これでは改憲の是非について有権者に信を問うたことにはならないのではないか。
 憲法改正を向こう4年間、政治日程に載せる気がないのか、国論を二分する課題に触れずに選挙に勝とうとしているのか。のちのちもめごとにならないようにきちんと説明してもらいたい。
 今回の選挙では、小選挙区制が導入されて以降、続いてきた二大政党の対決構図が崩れた。選挙の争点は「自民か、民主か」ではなく、安倍政権をどの程度評価するのかにならざるを得ない。
 安倍首相は討論で、選挙の勝敗ラインについて「自公で過半数」との見解を繰り返した。自公が現有議席を割れば政権が否定されたことになるというのは極論だが、過半数ぎりぎり維持でも政権信任といってよいのか。自公の党内世論の動向をよく見極めたい。
 最大野党の民主党が単独で衆院の過半数に届くだけの候補擁立を見送った。有権者が積極的に関心を持たなければ、選挙が始まったことに気づかずに終わりそうな無風区がかなりある。この選挙では有権者の政治的な成熟度も問われている。
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