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2023年12月31日19:34

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PERFECT DAYSの感想

レビューに書いていた映画の感想だが追記を書いたら文字数制限を受けたのでここに追記も含めて書くことにする

映画館で見てきたのでネタバレ有りの感想を書くが凄く良かった
今年のカンヌのベストアクター賞をこの映画で役所広司が受賞して話題になっていた
またこの映画は今年のアメリカアカデミー賞の外国語映画賞の日本代表になっている
日本の俳優が海外の映画に出演するのはそんなに珍しいことではなくなったのだがヴェンダースの映画ということで邦画?ドイツ映画では?と思っていた
ヴェンダースはパリテキサス、ベルリン・天使の詩、夢の果てまでもを見ていた
正直あまり記憶は無くなっているのだが見た後に感動した覚えはあった
果たしてどんな映画なのだろうか楽しみで見に行った

ネタバレ有りの感想は次のとおりなので嫌な人は読まないように
これは正真正銘の日本映画だ
舞台は東京、登場人物も全員日本人、プロデューサーも日本人、ユニクロが噛んでいた
ウィキペディアによると最初新宿区の公衆トイレをアピールする短編映画を作る企画からこの話は始まったとのこと
https://w.wiki/8cjP

話は公衆トイレの掃除をしてる役所広司の日常を淡々と描いたものだ
毎朝起きて家を出て目の前の自販機でコーヒーを買い掃除道具を入れた車を運転し区内のトイレを回って昼には公園の木漏れ日を眺めながらサンドイッチ食べて帰宅したら飲みに行き帰宅して寝る
これを何日か追っかけるのだが、同じ仕事をする相棒がいなくなったり、その相棒の彼女になぜかチューされたり、姪が急に家出だと言ってやってきたり、よく行く居酒屋の女将が男と抱き合ってるのを見てしまったり、などなど

主人公の役所広司は本当に質素な生活をしていて、車は軽、服もそんなに派手なものは着ない、食事は質素でたまに飲みに行きいつものの居酒屋で焼酎水割りを飲む
家の掃除は濡らして新聞をちぎって巻いて箒で履く。決してダイソンの掃除機なんか使わないし高級酒なんて飲まない。移動はチャリ。居酒屋浅草焼きとか看板出てたけど本当にあの場所あるんですかね?

そんな生活っぷりがなんか自分っぽくっていいなああって思っちゃったんだ。
そりゃ自分は清掃員ではないし東京にも住んではない。週末には美味いもの食っちゃうんだけど、一応自分も平日の朝と昼は安く上げようとしてるんですwwTwitterやYouTubeの中毒のようなものだし、まあ役所広司とは全然違うのだけど、なぜか自分の映画だと思っちゃったんだよね、なぜなのだろうかよくわからんwwww
良い年した一人暮らしのおっさんで毎日毎日同じように出勤して家具の少ない家に帰宅して本ではないがインターネットをごろ見してという淡々とした生活っぷりが自分の共感ポイントなのかもしれない。
まあ自分は役所広司のようなイケおじではないのですが。

全てを台詞で説明する映画では当然のことながらない。
家出した姪を連れ戻してきた妹はなんと運転手付きの車だ
妹と別れ際に抱き合い、妹が去った後泣く
お父さんはもうあんなんじゃないからホームに来たらいいのに、みたいに誘うのだが父と息子には回復不可能な大きなしこりがあるのだろう

また隅田川だと思うが三浦友和との話もよかったですね
影は重なり合うと濃くなるのでしょうか?に役所広司が一生懸命濃くなりますよ!!と言ってその後影踏みで遊ぶとか、いいシーンだった
ここで出会ったのは無意味ではないってこと言いたくて励ましたかったのでしょう

劇中、役所広司は昼の公園で木漏れ日をフィルムカメラで撮影をする
その写真は白黒で劇中でも描写されるのだけど、白黒映画のフィルムを重ね合わせる技法は日本の小津等の匂いがかなりする
時々差し込まれる白黒のシーンは日本の古い映画のリスペクト以外に何があるというのだろうか
たまたま何年か前に「無法松の一生」を見たのだけど白黒で色んなシーンが重なり合う多重露光のシーンがあったのだけど、それをかなり思い出させるものだった

なおヴェンダースって自分で写真も撮ってるらしい
https://w.wiki/55zj
昔どこかで彼が小津の映画に出ていたパチンコ屋に行きたいとか言っていたのを読んだ気がするがもういつのことでどこの本に書いてあったか忘れてしまった
もしかしたら勘違いかもしれない
彼は小津安二郎に深い影響を受けていて、何事もない日常を淡々と描く小津の映画をこの映画でやってみたかったんだと思う

劇中軽自動車の中でカセットで音楽を聴くのだけどほとんどが洋楽だ
ルー•リードのPerfect dayという曲も流れてるのだそうで題名はここから撮ってきているのだろう

LGBTQの人が出てきてりゴジラが出てきたり好きな人が失踪したり知り合いが殺されたり超能力者が出てきたりはしない
淡々とした日常を描いた普通なだけの映画だ
でも感情豊かで誠実な映画だった。見てとても良かった年間ベストテンに入れると思う

追記
ヴェンダース監督のインタビュー
https://youtu.be/3rtwl8xN_PE?si=dchfngU64A-dxjYa
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