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2021年08月31日09:36

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アフガン6〜自衛隊の救出活動に憲法の壁

2021.8.23
 「駐留米軍の撤収を急ぐバイデン米政権への不満が欧州の同盟国でくすぶっている」と読売新聞の記事が伝えています。欧州の同盟国のうちどの国でそうなのか、不満はどれくらいなのかは、よく分かりません。というのは、北大西洋条約機構(NATO)は臨時外相会議を開いて対応を協議し、今後も連帯してテロと闘う意思を表明するなど、同盟の結束を強調したと記事は書いているからです。
 批判的な発言が引用されるのは、イギリスの政治家のものが多いです。ブレア元首相は、バイデンの行為を「白痴的」(imbecilic)と呼び、「悲劇的で危険かつ不必要」な撤収だったと公然と批判。ウォレス英国防相は、米国が撤収方針を決めたタリバンとの合意を「腐敗した取引」と批判し、「アフガン政府を弱体化させる」と警告。「欧米の決心が敵国に脆弱とみなされるのは不愉快だ」と述べたとのことです。また、英下院では緊急に行われた討議で与野党議員が「米軍撤収は完全な誤り」などと非難したと報じられます。
 イギリス以外について、記事は、ドイツで「米国の致命的な判断ミス」(レトゲン下院外交委員長)などの声が上がったと書いているのみ。イギリスでは、首相や前首相、国防相らが彼らにとって最大の同盟国であるアメリカのバイデン政権を強く批判していますが、ドイツやフランス等でも首脳・重要閣僚がそういう発言をしているのではなさそうです。
 それゆえ、欧州の同盟国の多くでバイデン政権への不満が上がっているかのような書き方は、実態と違うような気がします。

2021.8.23
 タリバンの報道官は、米軍部隊の駐留が8月末以降も続けば「占領の延長」とみなすと述べたとのことです。8月末を「レッドライン(越えてはならない一線)だ」と指摘し、「米英が退避継続のためにさらなる時間を求めるのであれば、答えはノーだ。何らかの結果を招くことになる」と述べ、対抗措置として攻撃に出る可能性を示唆したと伝えられます。
 これに対して相手にプレッシャーを投げ返すことが、バイデン政権に出来るだろうか。多数の人質を取られると、人権最優先の方針では有効な反撃が出来ないのではないか。

2021.8.25
 島田洋一氏によると、カマラ・ハリス米副大統領は、米国の保守派から「バフーン(buffoon、下卑た道化)」と呼ばれているそうな。
 アフガンから撤退する米国は、中国に対抗するため東南アジア諸国との連携を強化しようと、ハリス副大統領がシンガポール、ベトナム等を歴訪中ですが、彼女が回ることでプラスがあるのか。逆にマイナスを生みかねないのでは。

2021.8.25
 米軍は撤退前に約10兆円($85 Billion) の武器を破壊せずに置いて行ったとのことです。山中泉氏がそのリストを掲示しています。タリバンにとってはこれが戦利品となり、今後の戦闘で利用されるでしょう。這う這うの体で放り出して逃げたのか、それとも相手に武器を与えるために置き土産にしたのか。

 山中氏が掲げるリスト

- 2,000 台の武装車両(高機動多用途装輪車両)Humvees、 耐地雷・伏撃防護車両(MRAP)を含む武装車両)
‑75,989 台の総車両: FMTV, M35, Ford Rangers, Ford F350, Ford Vans, Toyota Pickups, Armored Security Vehicles etc)
‑45機のブラックホーク・ヘリコプター(UH-60 Blachhawk Helicopters)
‑50 機の次世代攻撃用ヘリコプター(MD530G Scout Attack Choppers)
‑偵察用無人飛行機(ScanEagle Military Drones)
‑30機の軍用セスナ飛行機( Military Version Cessna’s)
-4機の戦術用輸送機(ロッキード社製4 C‑130’sハーキュリース)
‑29機の対地上戦スーパーツカノ攻撃機(29 Brazilian made A‑29 Super Tucano Ground Attack Aircraft 208+ Aircraft Total)
‑少なくとも600,000 丁のライフルと銃器(At least 600,000+ Small arms M16, M249 SAWs, M24 Sniper Systems, 50 Calibers, 1,394 M203 Grenade Launchers, M134 Mini Gun, 20mm Gatling Guns and Ammunition)
‑61,000 丁のM203 グレネードランチャー(M203 Rounds)
‑20,040発の手榴弾( Grenades)
‑榴弾砲(Howitzers)
‑1000砲の追撃砲(Mortars +1,000’s of Rounds)
‑162,000 台の暗号化された軍事通信機器(162,000 pieces of Encrypted Military Communications Gear)
‑16,000個のナイトビジョンゴーグル( Night Vision Goggles)
‑最新鋭ナイトビジョン・スコープ(Newest Technology Night Vision Scopes)
‑暗視スコープと暗視ゴーグル(Thermal Scopes and Thermal Mono Googles)
‑10,000発の 2.75インチの地対空ミサイル(10,000 2.75 inch Air to Ground Rockets)
‑偵察装置(Reconnaissance Equipment (ISR)
‑レーザー目標ユニット(Laser Aiming Units)
‑不発弾処理機器(Explosives Ordnance C‑4, Semtex, Detonators, Shaped Charges, Thermite, Incendiaries, AP/API/APIT)
‑2,520発の爆弾( Bombs)
‑暗号化処理済み通信機器(*Administration Encrypted Cell Phones and Laptops all operational)
‑数百万ドルの米ドル現金(Pallets with Millions of Dollars in US Currency)
‑2千万発以上の7.62mm砲銃弾、900万発の50カリバー砲銃弾(Millions of Rounds of Ammunition including but not limited to 20,150,600 rounds of 7.62mm, 9,000,000 rounds of 50.caliber)
‑数多く車両運搬車と身体防御用ボディアーマー(Large Stockpile of Plate Carriers and Body Armor)
‑軍用携帯用生体確認機器(US Military HIIDE, for Handheld Interagency Identity Detection Equipment Biometrics)
‑数多くのブルドーザー、掘削機つきブルドーザー、ダンプトラック、掘削機(Lots of Heavy Equipment Including Bull Dozers, Backhoes, Dump Trucks, Excavators)

2021.8.25
 アフガンを巡っても、G7と中ロの対立という構図が鮮明になりました。これに、インドとパキスタンの地域的な対立が加わります。

産経新聞 2021.8.25付より
 「中国の習近平国家主席は25日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、アフガニスタン情勢について意見交換した。中国国営新華社通信によると、習氏は『中国はアフガンの主権、独立、領土保全を尊重し、内政不干渉の政策を実行している』と強調。プーチン氏は、中国と協調して『外部勢力の干渉を防ぎ止めることを望む』」

2021.8.26
 アフガニスタンでは、米民間軍事会社ブラックウォーター社が、一人当たり6500ドル(約70万円)の料金でアフガンからの脱出の仕事を請け負っているとのことです。山中泉氏によると、大勢の取り残されたアメリカ人の中には、家やシェルターに隠れて一歩の外に出れない危険な状態の人も多く、それらの場合、家からチャーター機までの料金はさらに上がるとのことです。当然、自費です。
 山中氏曰く「バイデン始め米国務省は『全ての希望するアメリカ人の国外脱出をさせる』と言うが、国務省は具体的なアメリカ人の人数さえ把握しておらず、またその方法も明確に示していないため、それらアフガン国内に取り残されたアメリカ人たちは期限までの最後の脱出を自分たちでアレンジするしか道は残されていない」
 こういう状態でありながら、バイデン大統領は8月31日までの撤退期限を延長しないことを公言。タリバンから延長すれば攻撃すると脅されたからか。

2021.8.27
 第二次世界大戦終結期の各地の混乱以後、これほどの悲惨な混乱は、初めてではないか。山中泉氏のFBポスト2021.8.25ー26付けから。

記事1より
 「25日午前9時(アメリカ中西部時間)、カブール空港の外で自爆テロリストが2回自爆(3人の海兵隊が負傷)。長くタリバンと敵対してきたイスラム国による自爆テロと見られている。ここは、200ヤード空港から離れている。しかし、イスラム国からの脅迫は続いていた」

記事2より
 「先ほど書いた記事のカタール市内自爆テロで、『少なくとも10人の海兵隊が死亡』した。
 アフガンのローカル紙によると、『アフガン人は少なくとも60人が死亡し、200人以上負傷した』
 これによりアメリカ世論のバイデン政権弾劾の動きは大きく加速することになるだろう」

記事1より
 「オランダは自国民の救出を中止。『これは悲劇だ。オランダ人でも救出できない。』
 ポーランド政府は、900人の自国民を救出したが、これを停止した。全力を尽くしたが、現状でこれ以上は困難だ。
 イタリアは最後の救出フライトが木曜離れたと発表。
 フランスは金曜日以降は救出不可能だと発表。
デンマーク国防大臣は水曜日に最後のフライトが離れたと発表。
 英国国防長官は、木曜には11機の飛行機を飛ばす予定だが、その後の予定はないと発表」
 この悲惨な混乱は、明らかにバイデン米大統領の判断の誤りが生み出したものです。政治家としての能力の低さに加えて、選挙期間から懸念されてきた認知症によるものではないか。

2021.8.27
 自爆テロ。米海兵隊員ら少なくとも12人が死亡し、15人が負傷。アフガン人の死者は60人以上、負傷者は数百人。実行犯は、アフガンのIS系武装勢力「イスラーム国ホラサン州」。
 マッケンジー米中央軍司令官は、IS系武装勢力がロケット弾や自爆用車両による「さらなる攻撃を仕掛けてくる極めて可能性が高い」と指摘。次なる爆弾テロの阻止に向け警戒態勢を強化していくと表明したとのことです。
 タリバン政権は、IS系武装勢力と敵対的と伝えられるが、自国民を守るためにIS系武装勢力と戦う気があるか。逆に自爆テロによる混乱の拡大を対米に有利ゆえよしとしていないか。

2021.8.27
 トランプ前大統領は、次のように発言。
 「私なら決してこんな状態は許さなかった。アメリカ人や現地協力者を退避させる前に軍を引いてはならないことぐらい5歳の子供でも分かる」

2021.8.27
 「イスラーム国(IS)」は、2019年にイラクとシリアの支配地域をすべて失い、最高指導者アブバクル・バグダディは同年10月、米陸軍特殊部隊の急襲を受け、自爆ベルトを起動して死亡したとされます。以後、中枢の勢力は衰え、各組織は別々の指揮系統の下で活動しているとみられるとのことです。ISの現状について。

産経新聞の記事より
 「米議会調査局によると、米政府はISの関連組織として、アフガニスタンなどで活動する『ホラサン州』(IS−K)やエジプト北東部の『シナイ州』など計9組織を挙げている。アジアではフィリピンやバングラデシュに存在し、勢力拡大が伝えられるアフリカのサハラ砂漠以南には4つの組織がある」
 「ISは今年に入り、イラクのシーア派地区で複数の爆弾テロを行うなど勢力回復の兆しが出ている。親イランのシーア派民兵組織も米国関連施設への攻撃を継続している」

2021.8.28
 現代イスラム研究センター理事長の宮田律氏によると、氏が外務省に問い合わせたところ、8月27日現在でアフガニスタンに残っている日本人は国際機関に勤務している人などわずかに6人だったとのことです。その時点で、日本人大使館職員12人は17日に英軍機でドバイに脱出し、JICAの日本人職員たちも全員アフガニスタン国外に退去済みだったとのことです。
 その他のことも併せ考えて、宮田氏は、今回の自衛隊輸送機は3機も派遣する必要はなかったように思われると述べています。
 私は、これは結果論ではないかと思います。邦人だけでなく、友好的なアフガニスタン人を数百人輸送できるように3機派遣したが、IS系武装勢力の自爆テロで退避させられなくなったということではないか。カブール空港までは自力で来ることが条件であり、自衛隊は空港を出ないという方針ですから、強烈な妨害を受け、やむなく邦人1人のみの輸送になったということでしょう。

2021.8.28
 8月27日、アフガニスタンからの国外退避をめぐり、退避を希望している日本人1人が首都カブールの空港に到着し、自衛隊の輸送機でパキスタンに向かったと報じられました。これに伴い、今回の活動で現地に派遣されている外務省職員や自衛隊員もアフガニスタンを離れたとのことです。
 日本政府は、大使館や国際機関で働くアフガニスタン人のスタッフなども含めて最大で500人以上を退避の対象と想定していましたが、空港に到着できるメドはたっていないと伝えられます。
 輸送機を3機派遣し、500人以上を退避させる予定だったのに、実際に輸送したのは1人のみになったのは残念です。しかし、危険な任務を遂行した自衛隊員及び関係者は、ご苦労様です。

2021.8.28
 元自衛官、藤原道明氏(防衛省情報本部等に勤務)のFBポストを紹介します。

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 最終的にかどうかはわかりませんが、自力で空港までたどり着いた邦人一人を輸送、他は現地には留まることを選択したと言ってますが、本当かな?
 大使館員が我先に逃げたので、邦人、協力アフガン人の状況が一切分からないのが実態だと思います。
 中央即応連隊の隊員が100人派遣されている様ですが、自衛隊法84条の4(在外邦人の輸送)に基づく派遣なので、連隊員は銃を使うことができないですね。
 つまり、飛行場から市街まで前進し邦人や現地スタッフを保護しつつ空港まで運ぶことはできませんね。
 残念ですが自力でたどり着いた人を輸送するしかないようです。
 中央即応連隊の隊員は空挺団とと共に精鋭無比ですから、タリバンやISと銃撃戦をしながらでも、邦人等を空港まで連れてゆくことは出来ると思いますが、法の縛りで武器が使えないので戦うことはできません。
 どうしてでも救出しなければならない状況になり、銃撃戦になれば、超法規的行動を取らざるを得ません。
 その場合、自衛官は、殺人罪で日本の法定に立たされるかもしれません。
 皆さん、どう思われますから?
 一刻も早く憲法を改正し、自衛隊を改変し、いつでも戦える普通の国の軍隊にしなければならないと思いますが、いかがでしょう。
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 同感です。今回、他国の軍隊と自衛隊の違いが一層明確になりました。今のままでは、在外邦人は救える命も救えません。

 次回に続く。

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