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2020年06月23日10:11

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世界コロナ危機をどう見るか5〜イアン・ブレマー2

◆政治への影響

――大規模な経済政策で政府の存在感も強まっています。(朝日新聞 2020.4.29)
「安全網の担い手としての政府の存在感は増すでしょう。同時に、公的支援と引き換えに民間企業に対する政府の介入も強まる可能性があります。たとえば『自国民の雇用を優先せよ』といった具合です」
「見逃せないのは、パンデミックの最中に情報やモノを届けてきたIT企業の役割です。冷戦時代の軍産複合体のように、政府とIT企業の連携が進むでしょう」

――格差が拡大する(NHK−ETV特集 2020.4.11)
「コロナ以降の世界は、格差が大きく広がっていく。中国以外の新興国が危機の対応を誤るからです。米国はもともと格差が大きい国ですが、今後さらに広がるでしょう。欧州も同じです。持つものと持たざる者の差が大きくなるでしょう。本当に大きな格差を目の当たりにすることになります」

――膨大な失業者の発生など、米国が直面する経済危機の影響は(産経新聞 2020.5.11)
「好景気だったコロナ危機の以前でも、『自分たちは置き去りにされてきた』と感じた人たちが政治の支配層に反感を募らせ、英国の欧州連合(EU)離脱やポピュリズム(大衆迎合主義)といった動きにつながった。そんな労働者層や中間所得層が職を失い、最も大きな打撃を受けている。多くの民主主義国でみられた(体制不信の)傾向は強まると怖れている」

――新興国と発展途上国に深刻な影響(NHK−ETV特集 2020.4.11)
「先進国は余力があるのでこの危機に対処できるかもしれませんが、多くの新興国や途上国は深刻な影響を受けると思います。医療制度が不備な状況で不況になれば、国民は家族を守ることができなくなるでしょう。そういった国から社会不安が広がることは容易に想像できます。暴力、体制の変更や崩壊、そして過激化が広がるでしょう」

――政治的な影響も大きそうです。(朝日新聞 2020.4.29)
「大勢の人が仕事を失いますが、しわ寄せは特に労働者層や中間層に重くのしかかり、経済格差につながります。世界的に経済が順調だった過去10年間ですら、ポピュリズムやナショナリズムの伸長が見られました。パンデミック後の急激な変化はこれらがさらに加速し、エスタブリッシュメント(既得権益層)への反発が盛り上がるでしょう。特に途上国では、中国のような強権モデルに魅力を感じる層が増える可能性もあります」

ほそかわ
 ブレマーは「中国以外の新興国が危機の対応を誤る」という言い方で、共産中国の武漢ウイルスへの対応を評価する見方をしている。だが、中国は最初から対応を誤っており、感染拡大を隠蔽したことが世界的なパンデミックの重要な原因となったことは明らかである。しかも、感染者数や死亡者数について虚偽の数字を発表していると見られる。武漢ウイルスは人工的なもので、生物兵器として開発されたという疑いもある。また、社会的な格差の拡大についても、中国では、武漢ウイルス・パンデミックで多数の失業者が出ており、格差の拡大が進んでいると見られる。ブレマーの中国に対する見方は、全体に表面的である。

◆国際社会への影響

――世界の秩序も変わるでしょうか。(朝日新聞 2020.4.29)
「国家が台頭する一方で、国際機関などグローバルな統治システムが弱体化する。これは、国際社会がリーダーシップを欠き、各国間の連携が取れないことの表れです」
「新型コロナ問題の対応で世界保健機関(WHO)の弱さが露呈しました。ただ、これは『中国に甘い』のが問題なのではなく、加盟国に厳しくものを申せない事なかれ主義が、中国につけこまれる結果を招いたのです。もっとも、WHOの役割は重要で、存在意義を否定すべきではありません」

ほそかわ
 ブレマーは、誰もリーダーシップを取らない「G0」の世界において、G7もG20も機能していないというとらえ方をしている。その中で、国際連合(連合国)や国際機関の機能について具体的に述べていない。また、国連そのものが持つ問題点について踏み込んでいない。この件については、後に「G0」論について私見を書く際に書く。

◆米中対立は激化する

――米中対立について(NHK−ETV特集 2020.4.11)
「更に米中の対立は激しさを増していきます。これまではテクノロジー産業が中心だったのが、今後はサプライチェーン、製造業、サービス業にも広がるでしょう。米大統領選でトランプが中国への非難を強めることは容易に想像がつきます」
「これらの分断は、地球規模の危機に対して大きな問題をもたらします。気候問題、サイバーセキュリティ、AIやバイオテクノロジーの倫理問題、民族主義、ポピュリズム。これらの問題に対して国際社会が協調できないのは深刻な状況を生むと思います」

――米国のトランプ政権が、パンデミックを機に中国の批判を強めています。(朝日新聞 2020.4.29)
「米国では中国の初期対応をめぐる調査が始まり、『雇用を中国から取り戻せ』という圧力も強まるでしょう。トランプ大統領は、11月の大統領選を見据えて、『アメリカ・ファースト』をさらに強く打ち出すはずです。しかし、米中が互いに敵意を募らせ、相互依存を減らすのは、国際秩序の安定にとってきわめて危険です」

◆中国の影響力が拡大か

――米中対立の中国への影響について(朝日新聞 2020.4.29)
「米中の関係悪化によって地政学的に真空状態が生まれる事態は、中国にとっても好ましくありません。ただ、優位な面もあります。世界の注目は政治体制や人権の問題より、『シャットダウンから脱却できない欧米』と『経済活動を再開する中国』の対比に移っているためです。新型コロナと効果的に戦う模範モデルと見なされる利益を享受できます」

――政治的な影響も大きそうです。(朝日新聞 2020.4.29)
「大勢の人が仕事を失いますが、しわ寄せは特に労働者層や中間層に重くのしかかり、経済格差につながります。世界的に経済が順調だった過去10年間ですら、ポピュリズムやナショナリズムの伸長が見られました。パンデミック後の急激な変化はこれらがさらに加速し、エスタブリッシュメント(既得権益層)への反発が盛り上がるでしょう。特に途上国では、中国のような強権モデルに魅力を感じる層が増える可能性もあります」

――中国への依存は世界的に弱まるのか(産経新聞 2020.5.11)
「中国の労働力単価が上昇し、世界の工場とされた中国で生産する収益性は低下した。法の支配がなく、検閲が行われる政治システムを見て、中国に成長の機会を見出してきた多くの企業は以前と異なる目を中国に向けつつある」
「ただ、中国は新型コロナの流行封じ込めのため住民を迅速かつ効果的に隔離し、欧米諸国に先駆けて経済活動の再開につなげた。他国への支援を積極的に進めたこともあり、多くの国が中国への傾斜を強めるかもしれない。特に東南アジアやアフリカ南部、南欧、南米で米国よりも中国と手を結ぼうという国が増えてもおかしくはない」

 次回に続く。

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