mixiユーザー(id:525191)

2020年05月20日14:33

128 view

仏教5〜経・律・論

●聖典(続き)

・経・律・論
 仏教の聖典には、経典以外のものがある。経典は、主に釈迦の教説を弟子たちが集成し、文献にまとめたものをいう。これを経蔵(スートラ・ピタカ)と呼ぶ。また、釈迦が定め、弟子たちが整備した戒律を文献にまとめたものを律蔵(ヴィナヤ・ピタカ)という。
 釈迦の入滅後、教説や戒律を確定するための会議が行われた。最初のものを第一結集(けつじゅう)という。この会議において、経蔵と律蔵が比丘たちによって決定された。それによって、基本的な教義が形成された。
部派仏教の時代には、それまでに成立していた経蔵・律蔵に加えて、論蔵(アビダルマ・ピタカ)が作られた。これは釈迦の教えについて、各部派が研究し、解釈したものをまとめた文献である。分類や定義づけを目的とするもので、学者たちによる詳細な教義論である。これらの経蔵・律蔵・論蔵を、経・律・論と略し、また三蔵ともいう。
 三蔵及びそれらの注釈書を網羅した叢書を、大蔵経という。大蔵経は、特定の経典ではなく、仏教聖典の総称である。もとの言語で書かれたものが翻訳されて、各言語のものが作られた。パーリ語、チベット語、モンゴル語、漢語、満州語のものが現存する。一切経ともいう。

・教相判釈
 シナ及びシナ経由で仏教を導入した国々では、様々な時期に、様々な書き手にとって作られた経典が、成立年代や成立事情に関わらず、伝えられた。それらの多様性に富んだ文献をどのように解釈し、評価するかが、重大な課題となった。そこで経典の優劣と位置づけを行ったことを、教相判釈という。最高経典を『法華経』、浄土三部経、『華厳経』『大日経』『金剛頂経』等とする多くの立場があり、それが宗派の違いともなっている。
 仏教には、ローマ・カトリック教会のような中心的な宗派は存在しないので、いわば正統(オーソドックシー)のない状態において、多くの宗派(セクト)が互いの信条を主張しているものである。

・共通する根本的な経典がない
 仏教では、大乗仏教・上座部仏教・チベット仏教等で、これら全体に共通する根本的な経典が決められていない。キリスト教の場合は、ローマ帝国に広がった後、皇帝テオドシウス1世の保護を受け、380年には国教となった。392年にはキリスト教以外の宗教の信仰が禁止された。キリスト教がそのような地位を得た状態で、397年にカルタゴ公会議が行われ、旧約聖書39巻、新約聖書27巻、計66巻の聖書が確定された。旧約については教派によって若干の外典を含むが、聖書の主要部分は、政治的な皇帝の権力と宗教的な教会の権威が結びついて、権力と権威を以って確定されている。
 これに対し、仏教では、インドにおいて政治的な権力と宗教的な権威が結びついて中心となる根本経典が確定されることがなかった。インドから各地に広がった後も、各宗派の間で、互いにこの経典が最高だという主張がされ、収拾がついていない。これには、近代西欧的な科学的研究が進んだ今日でも、経典のうち、釈迦の真説であると学問的に証明されたものは何一つないという事情もある。そのため、今後も収拾がつく可能性はほとんどない。

●聖地

 仏教には、インド・ネパールに4大聖地がある。

(1)ルンビニー:  釈迦が生誕した地。ネパールのタライ地方バイラワ西方にある。
(2)ブッダガヤ: 釈迦が悟りを開いた地。インド北東部のビハール州ガヤー県にある。
(3)サールナート:釈迦が初めて説法をした地。鹿野苑(ろくやおん)と漢訳する。インド北部のウッタル・プラデーシュ州ヴァーラーナシー(ベナレス)近郊にある。
(4)クシナガラ:釈迦が入滅した地。ウッタル・プラデーシュ州のカシア付近にある。

************* 著書のご案内 ****************

 『人類を導く日本精神〜新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1

************************************
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する