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2018年05月08日09:32

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改憲論6〜自衛権

(8)自衛権

 現在も常設の国連軍は組織されていない。そうした国際社会の現状において、各国の安全保障のために重要な権利が、自衛権である。自衛権とは、自らを守る権利である。
 権利は「〜することができること」「〜してよいこと」に関わる概念である。広義では、何かをする、またはしないことができる能力または資格をいう。狭義では、一定の利益を主張し、またこれを享受する手段として、法が一定の者に与える能力または資格をいう。権利としての能力または資格は、それを行使することによって現実化できる。
 自衛権の行使においては、それを行使するための人間を組織し、武器を整備しなければならない。すなわち武装した集団を保持することによって初めて自衛権を行使することができる。
国連憲章は、自衛権について、第51条に次のように定めている。
 「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国が措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。」
 本条は、各国が「個別的又は集団的自衛の固有の権利」を有することを前提とした条文である。また自衛権を自然権とする思想に基づいている。国際連合は、自然権として個別的及び集団的な自衛権を持つ国家が加盟する集団安全保障機構である。国際連合が自衛権を付与するのではなく、国家は固有の権利として自衛権を有し、それを行使できることを認め、そのことを憲章に明文化しているものである。
 上記のように、国連憲章は第51条において、「安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置を取るまでの間」は、加盟国が有する「個別的又は集団的自衛の固有の権利」に基づいて必要な措置をとることができるとしている。それゆえ、国連憲章の規定の上では、個別的または集団的自衛権は、集団安全保障体制を補完するものとして認められているものである。しかし、実際は、もとになるべき集団安全保障体制を、未だ実現できていない。だから、世界の現状では、各国は、他国から武力攻撃を受けた場合、安保理の措置に頼ることはできず、個別的または集団的自衛権を行使して自衛しなければならないのである。
 わが国は、国連に加盟する前から国家固有の自然権としての自衛権を持ち、その自衛権を前提として日本国憲法を制定している。また国連に加盟する段階で、個別的及び集団的自衛権を持つ国家として加盟を承認されている。わが国は、国連憲章に明文化された自衛権を持ち、それを行使することができる。一般の国では自衛権の行使のために組織されている集団が軍隊であるが、わが国では、政府によってそれが自衛のための実力組織である自衛隊であるとされてきている。

 次回に続く。

関連掲示
・権利については、拙稿「人権――その起源と目標」第1部第2章(4)〜(6)をご参照下さい。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion03i.htm
・拙稿「国防は自然権であり堤防のようなもの」
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion08.htm
 目次から07へ
・拙稿「集団的自衛権は行使すべし」
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion08n.htm
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