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2017年01月22日10:01

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藤井厳喜氏はなぜトランプ大統領誕生を最も早く予測できたか1

●藤井氏は最も早くトランプ当選を予測し的中させた

 2016年(平成28年)の米国大統領選挙について、わが国には、少数ながら早くからトランプの勝利を予想していた有識者がいる。その中で最も早くトランプの当選を予測し、その予測を一貫して公言し、的中させたのが、国政政治学者の藤井厳喜氏である。
 藤井氏は、ハーバード大学国際問題研究所の元研究員であり、幅広い情報収集に基づいて、国際情勢の政治学的な分析を行うとともに、経済現象についても理論的な解明を行っている。また、現代アメリカのウォッチャーとして、わが国屈指の存在として知られる。私は、拙稿「東日本大震災からの日本復興構想」第3章で氏の提言を紹介するなどしてきた。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion13l.htm
 藤井氏は、2016年(平成28年)の年頭、「今年の予想」として、トランプが米大統領になるとビデオ・メッセージで語った。大胆な予想だった。予想の根拠は、世界的なグローバリズムへの反対の動きとナショナリズムの復興という大きな流れを踏まえてのものだった。この時点で、トランプの勝利を確信を以って公言した有識者は、彼の他にいなかったと思う。
 7月19日、共和党大会でトランプが同党の候補者として正式に指名を受けた。その段階になると、トランプが勝利する可能性を語る者は藤井氏の他にもいたが、氏のように明確に勝つと公に断言する人は、他に副島隆彦氏くらいだったと思う。
 今回の米国大統領選挙について、私は予備選の段階から、ほぼ毎日のようにアメリカのテレビ・ニュースを見たり、新聞記事をチェックしていた。だが、数か月間にわたりネットに文章を書く気がわかなかった。理由は、あまりにも候補者に問題が多く、水準が低かったからである。ドナルド・トランプとヒラリー・クリントンとの戦いは、嫌われ者同士の戦いであり、史上最低の大統領選となった。アメリカの衰退が顕著になり、どちらの候補者が勝っても、アメリカの衰退は一層進むと予想され、そのことによる世界への影響が懸念された。
 昨年10月の初め、ようやく私は、大統領選挙について書く気になった。そのきっかけは、ヒラリーに関する問題の深刻さをマスメディアが軽視していたからである。マスメディアのほとんどはヒラリーの優位を報じていた。それらの報道による限り、彼女の優位は揺るがないと思われる反面、ヒラリーの問題が社会的にもっと知られるようになれば、トランプが勝つ可能性が十分あると考えられた。ヒラリーの問題とは、国務長官時代の私的メールアカウントの使用、クリントン財団への献金を見返りとした口利き、夫ビルの女性問題での相手女性への脅し、夫妻周辺における不審死者の異常な多さ、本人の重病説等である。特に国務長官時代の私的メールアカウントの使用は、極めて重大な問題である。国政を担う政治家として失格であり、刑事罰に問われるのが当然である。
 アメリカのマスメディアのほとんどは、11月8日の投票日の直前まで、ヒラリーの圧倒的な優位を予想し、当日になってもそれを繰り返していた。だが、トランプが勝つ可能性は、10月下旬から11月の初めにかけて、どんどん大きくなっていると私は感じた。ヒラリーの当選を阻止しようとするCIAやFBIの動きも伝えられた。私は、諜報機関だけの動きではなく、米欧の所有者集団の意思が働いているのではないかと感じた。彼らはヒラリーを大統領にするシナリオで選挙戦を進めていたが、特にヒラリーの重要機密に関わるメールが大問題になり、かばいきれなくなったので、トランプに乗り換え、彼の抱き込みを図っているのではないかと推測した。
 選挙戦の結果は、マスメディア多数の予想に反し、トランプは勝利した。「まさか」の番狂わせという報道がされたが、選挙戦終盤の動向から見て、「あり得ることが起った」というのが、私の感想である。
 トランプの勝利によって、最も早くからトランプの当選を予測し、一貫してその予測を公言し、的中させた藤井厳喜氏への評価が急激に高まった。大胆な予測を公言し、結果として、予測通りになったことに、私は深く敬意を表したい。
 なぜ藤井氏は、早くからトランプの当選を予測し、的中させることができたのか。氏は、「トランプ革命で復活するアメリカ」(勉誠出版、2016年12月刊行)で、自分がトランプの当選を予測できた理由について、大意次のように書いている。
 「筆者は2015年の春の時点から、このレース(註 米国大統領選挙)を詳細にウオッチし始めた。最も初期からドナルド・トランプに注目し、その足跡を詳細に追跡してきた」「筆者は一貫して、トランプの当選を予測してきた。共和党予備選の段階においては、彼が共和党の指名を獲得することを予測」した。「予備選勝利を確信」したのは、「2015年11月」だった。本選挙になってからも、「日米のマスコミが、圧倒的にヒラリー・クリントン優位を伝える中で、筆者は一貫してトランプの当選を予測してきた」
 「『何故、トランプ当選が予測できたのですか』と多くの方々に聞かれるが、単純に言えば、『科学的かつ合理的にモノを考えたからだ』としか言いようがない。もう少し詳しく言えば、出来る限り広く情報収集を行ない、それをもとに健全な常識で判断を下していったまでである」。たとえば、世論調査については、「2016年は大手マスコミが絡んだ世論調査は全く信用が出来なかった。そこで、政治的に比較的に中立であり、過去の選挙においても実績のある世論調査をいくつか選んで筆者はそれに注目してきた。今回、それらの予測はほぼ正しかったと言える」「正しい世論調査を見ていたので、正しい予測が出来たのである」と。
 このように藤井氏は、「科学的かつ合理的」にモノを考え、「出来る限り広く情報収集を行ない、それをもとに健全な常識で判断」を下したと書いている。藤井氏が「政治的に比較的に中立であり、過去の選挙においても実績のある世論調査」とする世論調査は、わが国のマスメディアにはほとんど登場しないもので、一般人はその情報に触れることは少ない物と思われる。もっともそうした世論調査やマスメディア以外の情報を見るだけで、的確な分析や予測ができるわけではない。藤井氏は「健全な常識で判断」したというが、的確な分析と予測には、深い学識をもとにした政治学的・経済学的な考察が必要になる。この点で、藤井氏は、大局的な把握と緻密な分析を同時に行う高い能力を持つ学者である。その点を次に書く。

 次回に続く。
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