mixiユーザー(id:525191)

2017年01月07日08:45

336 view

トランプ時代の始まり〜暴走か変革か16

(4)中国

 トランプが米国の政策を転換することで最も大きな影響を受ける国は、おそらく中国だろう。トランプ政権の対中国政策については、既に経済政策、外交・安全保障政策の項目で触れたが、ここであらためて中国への影響という観点から書きたい。
 まずオバマ政権の対中政策への評価から始めたい。米国は世界最大の債務国であり、外部からの資本流入に依存している。中国は、2008年に日本を抜いて最大の米国債保有国になった。リーマン・ショック後、オバマ政権は、中国に対して低姿勢を取り、中国に米国債を買い続けてもらった。そのため、中国の南シナ海への進出や北朝鮮への国連制裁無視などに対して弱腰の対に終始し、人民元のIMF特別引き出し権(SDR)入りも承諾した。中国は「中華民族」の復興を唱え、経済面ではアジア・インフラ銀行(AIIB)、「一帯一路」構想を進めているが、オバマ政権は、こうした中国を抑えることができず、中国は米国の覇権に対して挑戦的な姿勢を強めている。
 また軍事面でも、オバマ政権の再均衡(リバランス)政策は、中国の海洋進出の封じ込めに失敗した。米国は北朝鮮やイランの非核化等の課題取り組みに中国に協力を求め、その影響力増大を歓迎してきたからである。南シナ海、東シナ海では、再均衡戦略が、中国の傍若無人の振る舞いと地域の不安定化をもたらす結果になっている。
 もちろん、オバマ政権が何もしなかったわけではない。南シナ海では「航行の自由作戦」を行った。東シナ海では、尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用対象であることを大統領が自ら公言した。北朝鮮に対しては「斬首作戦」の米韓合同演習を行った、韓国への地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備を決めた。等々である。だが、結果として、オバマ政権は、中国の勢いを抑えられていない。根本的に弱腰なので、相手への威嚇に十分な効果を生んでいないのである。
 先に書いたように、2016年の大統領選挙を前に、米情報当局関係者によると、アメリカの国防総省と軍は、オバマ政権の「対中腰抜け政策」に激怒していた。また、オバマ政治を継続するヒラリー・クリントンが大統領になることを容認できなかった。クリントン夫妻は中国に極めて近いから、FBIも、国防総省と同じく、ヒラリーには「ノー」だった。FBIのジェームズ・コーミー長官は、ヒラリーの私用メール問題で、11月8日の投票日直前に議会に捜査再開の書簡を送り、10日後には「不正はなかった」との書簡を送って、ヒラリーの勢いを止めた。クリントン夫妻、彼らの取り巻き、オバマ政権が密かにシヴィル・クーデタを実行することを知ったCIAとFBIは、カウンター・クーデタを行ったという情報もある。
 オバマ政権の対中国政策に批判的な勢力は、親中的なヒラリーの大統領当選を阻止し、トランプを大統領にして、中国に強い姿勢を示そうと考えたのだろう。トランプ自身、選挙期間中、中国を強く非難する発言を繰り返した。「大統領就任初日に中国を『為替操作国』に認定する」「中国のハッカーや模造品に規制強化する」「中国の輸入品に45%の関税を課す」「中国の覇権主義を思いとどまらせる。米軍の規模を拡充し、南シナ海と東シナ海で米軍の存在感を高める」等々である。また、大統領選を通じ、トランプは中国に対するオバマ米政権の弱腰姿勢を批判し、米国に「強さと賢明さ」があれば南シナ海での動きは阻止できたと述べた。
 米情報当局関係者によると、トランプは中国との激突も辞さない強硬政策を決断し、安倍首相にも協力を求めたようだという極秘情報が流れており、各国情報機関は、これこそが「安倍=トランプ会談の核心だ」と見ているという。
 トランプは、大統領当選後も中国への強硬姿勢を続けている。TPP離脱は中国に経済的利益を与える可能性が高いが、一律45%の関税、「為替操作国」の指定等を実施すれば、中国に直接的なダメージを与えるだろう。また、大規模な軍事力の増強を実施すれば、南シナ海・東シナ海で中国の覇権主義を力で封じ込める可能性が高まるだろう。さらに、トランプは、台湾の蔡英文総統と電話協議し、米国と台湾の経済、政治、安全保障面での緊密な結びつきを確認した。これを批判する中国に対して、「一つ中国」という原則に縛られないという強い姿勢を示した。

 次回に続く。

9 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する