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2014年08月29日10:48

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現代世界史29〜日本の国家安全保障

●日本の混迷と再建〜国家安全保障

 世界は冷戦終結後、アメリカ一極支配の体制から、多極化の方向へ変化しつつあるが、この中で、日本は長く混迷を続けており、国家の再建が焦眉の急となっている。この点について、国家安全保障及び経済の二つの面から述べ、その後に、日本再建のために実行すべき課題を示したい。
 まず国家安全保障の面から述べる。日本は第2次世界大戦の敗戦後、戦勝国による占領期間に日本弱体化政策を強行された。東京裁判で国家指導者が裁かれ、GHQ製の憲法を押し付けられた。1952年(昭和27年)4月28日に、吉田茂内閣のもとで、サンフランシスコ講和条約の発効を以て独立を回復した。しかし、占領政策の影響により、主権を完全には回復できていない状態で、国際社会に復帰したものだった。「国際連合=連合国」の一員となったが、国連憲章には敵国条項が規定されており、日本は現在もその対象国の一つである。日本国憲法は、日米安全保障条約と一対になっており、憲法によって国防に大きな規制がかかっている。独立回復後の保守政権は、憲法改正を課題とし、1950年代後半から〜60年にかけて岸信介内閣等が改憲を目指したが、実現しなかった。岸首相は、左翼による安保反対運動に屈せず。1960年(昭和35年)日米安保の改定を実現したが、後継首相の池田隼人は、改憲の課題を棚上げし、高度経済成長路線を進め、安全保障は米国に依存する姿勢を強めた。そのうえ、1965年(昭和40年)佐藤栄作内閣以降、日本国政府は、集団的自衛権は権利としては保持するが憲法上行使できないという内閣法制局の解釈を踏襲してきた。そのため、独立主権国家としては、脆弱な国家安全保障体制であり続けている。
 こうした状態でありながらも、大戦後、独立を維持し得てきたのは、米ソの冷戦によって戦勝国による秩序が維持されてきたからである。だが、冷戦の終結によって、国際環境は大きく変わった。諸国家・諸民族・諸集団がそれぞれの権利を主張して起こる紛争が多くなっている。わが国は本来あるべき国家安全保障の確立を急ぐべきところだが、これが遅々としてよく進んでいない。
 ここであらためて浮かび上がってきたのが、領土問題である。日本は大東亜戦争の末期に、ソ連によって北方領土を不法占領された。ソ連はサンフランシス講和会議に参加しておらず、日本はまだソ連及びロシアと平和条約を締結していない。それにより、北方領土問題は未解決の問題である。また、占領期間末期の1952年(昭和27年)に韓国の李承晩大統領が李承晩ラインを引き、竹島の領有を主張するようになった。韓国は竹島の実効支配をするようになり、わが国はされるがままの状態となっている。さらに、1970年代から中国が尖閣諸島の領有を主張し出した。これは、尖閣諸島周辺地域に石油、天然ガス等の埋蔵資源が豊富にあることがわかったためである。尖閣諸島は北方領土、竹島と同じく日本の固有の領土であり、1972年(昭和47年)米国から沖縄諸島が返還された際に、沖縄の一部として日本に返還されたものである。
 韓国及び中国は、経済成長とともに軍事力を強化している。また国民を統合するために、特に1990年代から反日的な教育を行っている。日本に対して、歴史認識、戦後補償、南京事件、慰安婦等の問題を持ち出し、国家間関係を有利に進めようとしているものである。日本国内にはこれに同調し、反日的な主張・行動をする勢力があり、多くのマスメディアが偏向した報道をして国民を誤導している。
 とりわけ急激な軍拡を進め、覇権主義的な行動を取っている中国は、武力による尖閣諸島の奪取を計画している。尖閣の次は沖縄を狙い、さらに日本を支配下にしようと画策している。
 こうした状況において、わが国は憲法を改正し、国防力を充実させて、国家安全保障体制を強化することが急がれる。だが、現行憲法は、国会の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票の過半数で決するという極めて厳しい改正要件を定めており、改正の実現は容易でない。そこで、まずは集団的自衛権に関する政府の憲法解釈を改め、行使を可能に戻す次善策が案出された。2014年(平成26年)7月、自民党と公明党の連立による安倍晋三内閣は憲法解釈を改め、集団的自衛権の限定的行使を容認することを閣議決定した。今後、行使を可能にするための法整備が進められる。
 中国は東シナ海のみならず南シナ海でも広範な領域を支配下に置こうとしており、米国、東南アジア諸国、オーストラリア等が警戒を強めている。またインド洋への進出を進めており、シーレーン(海洋交通路)の防衛が国際的な課題となっている。わが国は、米国、東南アジア諸国、オーストラリア、インドと提携し、アジア太平洋からインド洋に及ぶ海洋の安全保障を強化する必要がある。この国際的連携をより強固なものにするためには、イギリスとの21世紀型の日英同盟の構築も有効である。アジア太平洋地域及び世界の平和と安定のために、日本に積極的な国際貢献が期待されている。

 次回に続く。
 
関連掲示
・拙稿「憲法第9条は改正すべし」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion08m.htm
・拙稿「集団的自衛権は行使すべし」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion08n.htm
・拙稿「慰安婦問題は、虚偽と誤解に満ちている」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion12f.htm
・拙稿「尖閣を守り、沖縄を、日本を守れ」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion12o.htm

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