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2014年08月23日08:54

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現代世界史26〜中国でバブルがはじける

●中国で巨大なバブルがはじける

 中国は驚異的な経済成長を続けた。2010年(平成22年)には、GDPで日本を追い越し、世界第2位となった。だが、その経済基盤は決して安泰ではない。中国は、石油資源が枯渇し、1993年(平成5年)に石油輸入国に転落した。経済成長を続けるためには、大量の石油を輸入しなければならない。中国が1980年代以降、兵器を供与している国は、イスラム系中東諸国、産油国と世界の戦略的要衝となる国であり、わが国のシーレーンに沿った国やアメリカの世界政策と抵触する国々である。石油以外にも、経済成長に必要な様々な資源を確保するため、中国はアフリカ、中南米等に貪欲に触手を伸ばし、世界各地で資源確保に躍起になっている。中国は、水資源の枯渇にも直面しており、インドやインドシナ半島の諸国の水源から水を奪い取ろうとして、大規模なダムや河川の工事を行っている。
 その一方、実質的一党独裁と市場経済の矛盾を抱えたままの経済成長のため、中国の内部では、様々な矛盾が高まっている。共産党官僚による腐敗の蔓延、貧富の差の拡大、農村の疲弊、失業者の増加、銀行の不良債権率の増大、エイズ感染者の広がり、河川・海洋・大気の汚染、砂漠化の進行等、統制のもとでの急速な経済成長は、ほころびを示しつつある。社会不安が高まり、各地で暴動が頻発している。2005年(平成17年)には年間9万件の暴動が起こったと発表された。ただし、これは共産党による公式発表だから、実態はそれを大きく上回るだろう。

 中国共産党は、政権を維持するには、どうしても成長率8%を維持しなければならない。成長率が8%を切ると、1億人以上の労働者に仕事を与えられなくなり、政権基盤が危うくなると考えられるからである。2008年(平成20年)夏の北京オリンピック大会の終了後、そうした中国に、リーマン・ショックの激震が走った。暴動が頻発し、社会不安の広がる中で、世界経済危機の大津波が、シナ大陸の深部にまで襲ったのである。2011年(平成23年)には、暴動・騒動事件の発生件数が18万件を超えたと伝えられた。これは毎日全国どこかで約500件発生している計算になる。
 そうした中で、習近平が2012年(平成24年)に共産党中央委員会総書記となり、13年(25年)には国家主席となった。比較的穏健だった胡錦濤前主席と異なり、習は、中国共産党の反日的な姿勢を強め、また覇権主義的な傾向を強くしている。中国経済は、2013年(平成25年)後半から、バブルの崩壊の兆しを表している。今後、経済が崩壊したら、社会不安はさらに増大する。その時、懸念されるのは、習政権が国民の不満を外に向けるため、周辺諸国に軍事的な侵攻を行うことである。わが国の尖閣諸島と沖縄は、そうした中国の奪取の対象として、十分な警戒を要する。

●米中が東南アジアで競い合う

 米国と中国は、世界規模の覇権をめぐって争っている。中でもその争いの重要な焦点となっている地域が、東南アジアである。
 東南アジアは、インド洋から太平洋への通路に位置し、昔から交通の要衝にある。この地域の主要国で構成する東南アジア諸国連合(ASEAN)は、計6億2000万人の人口を抱え、安い労働力と豊富な消費者が存在する。わが国にとっても、米国や中国にとっても、ASEANの重要性は増す一方である。
 中国は、東南アジアへの経済・外交・安全保障面での影響力を拡大している。そして、南シナ海のほぼ全域の領有権を主張し、覇権の確立を目指している。これに対し、米国は、アジア太平洋における中国の行動を牽制するため、ASEANとの関係の強化を図っている。冷戦時代に、米国と中国はインドシナ半島で激しく勢力争いをした。ベトナム戦争やカンボジア内戦は、米中の勢力争いの舞台だった。今日その争いの再現を思わせるほど、東南アジアは再び米中が激しく競い合う地域となっている。

 2014年(平成26年)3月18日ロシアがウクライナのクリミア自治共和国を併合した。それにより、冷戦終結後、かつてないほど世界の緊張は高まりつつある。中国は、ロシアに対する米国・EU・日本等の制裁の度合いを見て、尖閣諸島を含むアジア太平洋地域で海洋覇権の拡大を狙っている。
 そうしたなかで、オバマ大統領は4月23〜28日、日本などアジア4カ国を歴訪した。オバマ大統領のアジア歴訪はアジア太平洋地域での同盟を強化し、覇権拡大政策をとる中国を牽制するために有益なものとなった。これまでの宥和策中心の姿勢から、中国の侵攻を阻止しようとする姿勢に転換したことを示すものとも考えられる。
 オバマ大統領のアジア歴訪が終了するや、5月初め中国は、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島海域で石油掘削を進めた。これを阻止しようとするベトナム船と中国公船が衝突を繰り返し、南シナ海に緊張が高まった。中国は、アメリカがアジア太平洋地域にどこまで本気で関与しようとしているのかを試したものと見られる。だが、米国およびベトナムが断固たる姿勢を示すと、中国は掘削施設を撤収した。次のチャンスをうかがうものと見られる。
 東南アジアは、中東から日本に至る石油の海上輸送路、シーレーンの要の位置にある。インド洋からマラッカ海峡を通って、フィリピン沖、台湾沖を北上するシーレーンは、世界貿易の3分の1が経由する物流の大動脈である。わが国にとっては、石油輸送の生命線である。中国にシーレーンを抑えられれば、わが国はのどもとに手をかけられたも同然となる。それゆえ、わが国の安全と繁栄を維持するためには、尖閣の防衛だけでなく、シーレーンの防衛を外交・安全保障の重大課題としなければならない。生命線の防衛のためには、我が国は従来の憲法解釈を改め、集団的自衛権の行使を容認し、さらに現行憲法を改正し、自主国防力を整備する必要がある。唯一の同盟国である米国との緊密な連携を取るとともに、東南アジア諸国との連携の具体化が重要である。その連携をオーストラリア、インドへ広げ、さらにイギリスとの間で21世紀型の日英同盟を構築することによって、わが国の安全保障は格段と強化されるだろう。

 次回に続く。

関連掲示
・拙稿「米中が競い合う東南アジアと日本の外交」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion12p.htm
・拙稿「荒れる南シナ海と米中のせめぎ合い」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion12u.htm

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