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2013年02月13日17:53

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ファンタジーの往還(23)  心理療法からの解釈(3)

 河合は「昔話」のなかで、鬼にさらわれた花嫁が鬼を笑わすことで危地を脱する物語「鬼が笑う」を分析している。鬼を笑わせる方法が奇抜なのであるが、母親と二人を助ける庵女様と三人で裾をまくって性器をみせびらかす、というのである。同様の話は、アマテラスを岩戸からおびき出す時に、アメノウズメがストリップ・ティーズを演じることで八百万の神々を笑わせると事例がある。
 
 ここで問題は、女性器の露出で、なぜ鬼も神々も大笑いするのか、という理由である。河合はこの問題には触れていないので、私の考えを述べてみよう。
そもそも、ストリップはエロチックではあるが、漫才ではないので笑うようなものではない。では、なぜ笑うのか? それは笑うことになっているから、いやでも笑わねばならないのである。
 つまり、言いたいのは、これは春を呼ぶ繁殖儀礼ではないのか、ということである。春、作物の芽が出る時、大笑いすることで成長を促す。同様に、子を産むときにも笑うことで、赤ん坊が腹から出てくることを促すのではなかろうか。女性が性器を開く・・・出産が近い・・・笑いだす、という条件反射だったのではないだろうか。
 東大阪市の河内国一宮、牧岡神社には冬至の日に「お笑い神事」が行われるとのことである。日差しが強くなるように太陽を励ましているのであろう。ネットによれば、祭神は天の児屋根命で藤原氏の祖先神、岩戸でアマテラスをおびき出した知恵者である。

 ところで、穀物神オオゲツヒメとスサノオの神話がある。オオゲツヒメがスサノオをもてなすために料理しているところをのぞくと、オオゲツヒメは尻や鼻の穴に口から食べ物をとりだして並べていたのである。怒ったスサノオがオオゲツヒメを切り殺すと、彼女の死体からさまざまの穀物の種があらわれたのである。排泄物から料理を作るという同様の昔話もあるとのことだが、グロテスクでありフェティシズムであろう。女性による下半身の露出でも、こちらは大笑いとはいかなかった。
 しかし、考えてみるに、これは女性の汚れをあらわしているようにみえる。汚れと出産は表裏の関係にあるのでなかろうか。おまけに昔は出産は命がけであった。そのように、穀物の種も汚れの中から生み出されると類推されたに違いない。

 いずれの場合も、春は芽吹きは死の淵からよみがえってくる、そのように古代人は観念したのであろう。深層意識は、笑いにより春を呼ぶこと、そして汚れと誕生や芽吹きとの一体性をよく知っていたのである。潔癖症は問題である。性的な潔癖症も同様に違いない。
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