橋爪大三郎「仏教の言説戦略」勁草書房1986 は、「言語ゲーム」の側面から仏教を捉えていて新鮮、抹香くさい感じがしなかった。ここで、「仏教の言語ゲーム」とは、仏教に参加している人間の行動が相互作用でうみだしてゆく言葉群としておく。正確に理解しようとすると、いつのことになるか分からないので。それと読んだのは、第５章 仏教の言説戦略と第６章 大乗教試論だけである。著者もとりあえずこれだけでよいと言ってくれているので。
仏教はインドのヒンズー教の中から生まれたもので、キリスト教がユダヤ教から生まれたのと似ているが、決定的に違うのは、仏教徒は葬儀をしてはならないということでブッダの葬儀はヒンズー教に任され、その遺骨は７つの塔に分骨されて世俗の僧侶でないものが守っていたということであろう。
この仏塔を守る世俗の集団から大乗教が生まれたとのことである。日本の寺に必ず三重塔か五重塔があるのは、つまり大乗教だからだということになる。それに、葬式仏教となるのもその流れに違いない。
もとの基本仏教（いわゆる小乗の上座部仏教）は、五つのゲームからなっていて、�仝腓蠅鮨屬佑△Ε押璽燹８腓辰燭�そうでないか、客観的な基準がないからこうなる。要するに、禅問答。基本的にサンガ（寺だと思う）に集まった修行者はブッダも含めて平等であったとのこと。キリスト教での法王庁を頂点とするヒエラルヒーはないらしい。考えが違うとなれば別のサンガを作ったとのことである。
�▲屮奪世鯢庫椶箸垢觚腓蠅離押璽燹Ｉ庫椶呂△辰討眛営蠅�難しい。
��ブッダの言説を伝持するゲーム。・・・大乗に至って、ブッダを名乗るお経がたくさん作られた。各宗派は（日蓮宗以外は）基本の経典を決めてあるが、他を排斥することはない。キリスト教の場合、福音書は４つであり、それ以外は異端で粛清の対象となった。
�ぅ屮奪世硫�を持するゲーム。
�ゲ�＝律違反を告白しあうゲーム。キリスト教では信者は神父に、神父はそれぞれ上位者にだとおもう。
このように言われれば、仏教は基本的にブッダの方針を守ってきたと言えるのかもしれない。キリスト教が聖書以外の宗教行動においては脱イエスだったと思える。だから大審問官などがうまれたに違いない。
日本に来た大乗教は、当然母体のヒンズー教がない。その最大のテーマたる輪廻の観念がなかった。ここから教え込まねばならない。日本古来の信仰（神道）では、柳田国男も言うように、魂は先祖のところへ行き、折を見て新しく誕生する赤子の魂になるのである。畜生になるといわれても・・・それはお寺の説教か講談で聞いているが？と言った感じではなかったろうか。先祖が守ってくれる・・・つまり今言われている守護霊で、きわめて神道的である。
私の感じから言えば、大乗教とはヒンズー教の持つ問題点を解決するたびに一つの宗派なり如来や菩薩を作っていった。そのように発展、拡大していった宗教である。お寺で修行できないものは成仏できないのか？・・・阿弥陀仏の誕生。
拝んだこともなく死んだ赤ん坊はどうなる？・・・地蔵菩薩が守ってくれる。キリスト教の場合、キリスト以前の人々は全部煉獄以下であって、救済の手段はない。考えたこともないに違いない。
女は成仏できないのか、よく働いてくれた馬はどうなる？・・・観音様は変身して女になり往生を助ける。馬頭観音が馬を助ける。・・・観音様は一人だし、男なんだが、そういうことにこだわらないのである。
ということで、親鸞の夢に現れて、私が妻となり汝を導く（そう言われたら妾ではすまない、正式の結婚でなければ）・・・などと言えたのであろう。
以上、著者の説と私の連想が混ざってしまったが、坊さんの書いたものだけでは面白くないので、分かる範囲で読んでも面白い。
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