mixiユーザー(id:7990741)

2023年07月20日16:23

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「あなたはここにいなくとも」町田そのこ著

21年本屋大賞の作家の最新刊、短編集なのだが、とても面白かった。

五篇全てで高齢女性が重要なキャラクターなのだが、
必ずしもおばあさんは生身では登場せず、主人公はどの話も若い女性。

まずは「おつやのよる」。
40ページ位なのに、長編を読みきったような充実した読後感に驚いた。
大人数の登場人物達の過去の描かれ方が
とても的確で簡潔なのに、全員の人となりがはっきりわかる。
そしてキーとなるのが、お通夜の当人というか
亡くなった祖母で、この人がたいそう賢くて公正なしっかり者。
そしてとても魅力的で好人物。
(とは言うものの、どこかの大国の故女王のように、息子の人格には疑問符)

他には、不倫や初恋ものなど、若い女性が主人公ながら、
どれも高齢女性が重要なキャラクターとして
時に謎めいて、だが、はっきりと描かれている。

おばあさんのお話なのだが、ちっとも年寄りの物語ではない。
若者たちへの応援歌、とくくることができるかもしれない。
本当に上手い語り手だ、と感心しながら読み終わった。
私は「52ヘルツのクジラたち」よりも、ずっと好き。



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