下北沢にある小田急線の踏切に出た若い女の幽霊、
元新聞記者で、今はフリーの女性誌記者が、幽霊の謎に迫るサスペンス。
とても面白いが、たいそう悲しい物語。
妻を病気で亡くした松田は、悲しみを乗り越えられないでいる。
政治家の収賄事件の取材に失敗したところで、
次に幽霊話の取材依頼を受けるのだが、
昔の知合いの刑事らを頼り、調べを進めて行くと……
主人公は子供のいない中年男で、たった一人の家族だった妻の
死を受けとめられずにいる、という点がミソ。
亡くなった人と再び会いたい、という強い気持ちが
若死をした孤独な女性の霊に、主人公を強く結びつける。
その過程や、彼の心の動きが、とても切ない。
ホラーではあるが、お仕事奮闘記でもあり、
一人の哀れな女性の半生の物語でもある。
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