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2018年08月14日19:20

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高畑勲のかぐや姫の物語を見た

登山が悪天候で中止。釧路に戻りだらだらとビール飲んでネットをしていたらこれがツイッターに流れてきたので見た。
http://bunshun.jp/articles/-/8406

うぉおって思いながら見ているとこんなのも流れてきた
https://lineblog.me/studioponoc/archives/110038.html

続きはこれを見てってことでこういうドキュメンタリーもあることを知った
https://www.amazon.co.jp/高畑勲、『かぐや姫の物語』をつくる%E3%80%82-ジブリ第7スタジオ、933日の伝説-Blu-ray-スタジオジブリ/dp/B00N74978C

これらに引用したものがとても面白い。
そんなことでビデオを借りて見てきた。
ドキュメンタリーなどを先にみてから本編の映画を見るのは初めてだったが案外ふつうに映画の世界に入れてみることができた。
高畑監督の前作、ホーホケキョとなりの山田くんがメトロポリタン美術館永年保存作品に加えられているらしいのだけど、あの薄い水彩画のような絵のアニメは多分日本人が感じているより芸術的に捉えられるのだろう。今の日本で高畑監督のしてきたようなあの絵作りをしようとする監督はいないのではないだろうか。今のよくあるセルアニメに抗いたい高畑監督の気持ちがよく表れていると思う。フレデリック・バックのようなアニメの表現の可能性を彼は追求したかったのだろう。もしかしたらアニメ監督でこのような野心を持ちつつしかもメジャーであろうとした監督はいなかったのではないだろうか。

印象に残るシーンは、宴会の時にかぐや姫に合わせろって酔っ払いが言っているのを聞いて駆け出すシーン、桜の樹の下のくるくる回るシーン、お迎えが来るシーンだった。特にあのお迎えのシーンのイマジネーションはちょっとすごいと思いますねえ。放った矢が花になって追いすがった翁が気を失って優しく雲に拾われて気を失ったまま降ろされるって凄いよねえ。というか、かぐや姫の話をこれだけの尺に出来たのが凄い。前記したプロデューサーの悲惨日記ではカットできるページのことで大騒ぎしていてまだまだ膨らませられるのだなと思うと良くそれだけ考えられるなと感心せざるを得ない。

あとよく考えたなと思うのが、織物を織るシーンとかお椀を作るシーンとか糸を紡ぐシーン、どうやってその時代の人たちは物を作ったのかってのが考証されていてとても感心した。この緻密さは片渕須直監督の映画のよう。どうやって鳥を捕まえるのかとか、今街中で生きてる人間はそんなこと考えないよ。それを彼らは考えたんだね。どうやってタンパク質を取ろうとしたのか、それはどうすればいいのか。

http://www.nicovideo.jp/watch/1523950439
この番組で高畑監督について語られていて、語っている彼は高畑監督のことをとてもリスペクトしているのが良くわかる。番組を作られたという一点を持って日本の映画監督としてやはり抜け出ている存在だ。
この番組で高畑監督のことをパワハラとか言っていて、宮崎駿監督にも似たようなことを言っているのだけどこれらの監督はいい映画を作りたいって一心でアニメーターを虐待したいとか虐めたいとかではないのだ。ギリギリまでアニメーターでもプロデューサーでも出来る限界を求めて、それによって表現の可能性を追求しようと監督として、表現者として高畑にしろ宮崎にしろ頑張っているのだ。
そんなことで自分は宮崎や高畑のことをパワハラとか安易に言うのは受け入れなれない。たとえ鈴木敏夫がトラウマっぽくなったって、その世界で生きていこうと覚悟したからにはグズグス言わないで頑張れと俺は思う。公務員とかセールスマンとかじゃないんだ。

高畑監督の雑談は西村プロデューサーがいうようにとても面白いらしい。彼のようなインテリをもっと表に出して話すような場ができなかったのは痛恨だ。

この映画五十億使って8年かけて作ったのだな。この常に考えられて作られた作品はそれだけの物を要求したのだろう。一つ一つのことを丁寧に考証して映画として成立させるべく取り組まれるにはそれはやはり必要なことだったのだと自分は思う。それにふさわしいクォリティだった。

グリフィスはたくさんの負債を作ってアニメを作ったように高畑はたくさん出費してこのアニメを作った。グリフィスの時代のようなハリウッドの立ち上がり期の勢いがジブリにもあってそれがこの映画を作り上げたのだろう。

高畑さんの死後、宮崎監督は新作を作れなくなってるらしい。なんとかうまく乗り越えて、昇華させて多分宮崎監督の白鳥の歌になるであろう自作を完成されてほしい。

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