mixiユーザー(id:7990741)

2024年04月30日15:42

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「風に立つ」柚月裕子著

親子関係に問題のある父子を中心とした物語で、とても面白かった。

孝雄は腕の立つ南部鉄器職人で、妻を亡くしてからは一人息子の悟と二人暮らし。
住まいの敷地内の工房で、還暦近い職人の健司と、時折アルバイトを雇う。

そんな中、突然、孝雄が補導委託を始めると言い出し、
仙台から、万引き等の罪を犯した少年⋅春斗がやって来て同居が始まる。

とまどう悟達をよそに、親方である孝雄は
春斗に鉄器製作の工程を指南する。
そんな中、突然春斗の母親が訪ねてきて…

登場人物達の個性がはっきり描かれていて、各人とても魅力的だ。
途中、風来坊のバイト八重樫が加わり、
古参の健司と漫才のようなやり取りが繰り広げられると、
シリアスな話に花が添えられ、深みが増す。

最初からずっと、悟の父親に対する反感が語られ、
読者は孝雄の偏屈ぶりを次々と知らされるのだが…

優れた職人は無口で、その生き方は不器用 みたいな、
判で押したような点も見られなくもない。
でも、岩手の風土や南部鉄器のしっかりした描写に、
主人公等の確固たる個性が相まって、
とても読みやすくて楽しい一冊だった。







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