カンヌ主演男優賞受賞作ということで、サービスデーの午後、前売りは売り切れ。
シネコンには、ほぼ毎回平日に行っているが、「売りきれ」の回は初めて。
前半は殆ど無言の役所広司が、淡々と都内の公衆トイレを掃除して回る。
でも、見慣れているはずのわが町東京に、
さり気なく、こんなにきれいなスポットがあるものだ、
東京タワーに比べて姿かたちは見劣りするスカイツリーが
見る人が見上げると、かくも趣ある建造物なのだ、
と、感心しながら鑑賞できた。
実は朝からの大掃除でヘロヘロ状態での映画鑑賞で、
ひょっとしたら寝落ちするかもと半ば覚悟していたのに、
全くそんなことはなく、アクビの気配さえ起きなかった。
大きな効果音とかアクションは無かったのに。
というのも、折に触れて表現される主役のワケありな過去?の、
緩やかでおぼろげに流れる映像が、
何とも、想像力をかきたてるのだ。
ちょっとした脇役も、私の好きなテレビドラマでしっかりした助演をしている面々で、
おっ!とか、あっ!とか心の中で声があがってしまう。
その他、意外なベテラン実力派が登場して……ええーっ!?と。
またカセットテープの音楽が、懐かしいのと渋いのと、
さらに文庫本の作家のチョイスもそそられる。
とにかく役所広司の映画、しかも外からの目線で描かれた東京ーーこれにつきる。
2023年の締めくくりを、こんな良作で飾ることができて、
なんとも実りある一年となった。
ログインしてコメントを確認・投稿する