東大で博士号を取得した著者の、ロシアのウクライナ侵攻後に綴った日本語のエッセイ集。
2022年2月24日には、たまたまウィーンに出張中だった著者が、
侵攻が始まってすぐに、母ら家族を脱出させるなど、
ウクライナの人々の危機管理感には、感ずるところがある。
何しろ日本が自然災害に備えて持ち出し袋を準備するように、
かの国は戦争に備えて持ち出し袋を作っておくという。
とても流暢な日本語で読みやすく、戦時下の人々の苦労が伝わってくる。
中でも、ゼレンスキー大統領を論じた章は、
最初はインテリ層等には不人気だった彼が、
いかに国民の心を惹き付けたか、よくわかる解説になっている。
国際派の知識人が、ウクライナ国民の苦難を淡々と語る、
かの国を知るための入門書と言えよう。
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