2014年ロンドンで実際に起きた、公営住宅占拠騒動を元にした小説。
ノンフィクションを何冊も書いている著者だから、
読みやすくてリアルで面白かった。
若いシングルマザーのジェイドは、出産と共に仕事を辞し
今やホームレスのためのホステルに住んできたが、そこを退去するように言われた。
同じような境遇の二人と、さらには元活動家のローズと一緒に
ロンドンの中での住まいを求めて、世間に訴え始めた彼女達に、
次々と支援の手が集まってきて、大きな動きとなる。
物語では、ロンドン駐在の若手女性新聞記者と、
その元カレで自称アクティビストが絡み、
大勢の個性豊かな人間模様も繰り広げられる。
「上」から我慢を強いられる弱い立場の人々ーー特に女性たちが、
自分達の力で道を切り開いて行こうとする様が好ましい。
また、ジェイドらが政治家に訴えてもらちが明かず、
ローズの仲間やマスコミが手を差しのべてくるところなど、
少しできすぎの感もあるが、でも実際に起こった事件だと知っているので、
この展開もあり得ると納得。
本の最初に人物名リストがあり、さらに読みやすくなっているのもありがたい。
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